2017.11.12 石垣喜幸@炎の沖縄居酒屋 抱瓶

2017年11月12日/ 石垣喜幸

2017.11.12 石垣喜幸 喜幸哀楽(キコウアイラク)~今宵 東京 高円寺 な夜Special~@炎の沖縄居酒屋 抱瓶

2017.11.12 石垣喜幸@炎の沖縄居酒屋 抱瓶

gift(ギフト)。
「贈り物」の意味を持つこの単語にはもうひとつ「天賦の才、天資」の意味があります。それは生まれ持った資質の事であり、もーちゃんこと石垣喜幸さんの歌声はまさしく「gift」だと思うのです。その声に加え曲を創る感性もまた「gift」であり、それを見出し活かしていく努力、継続力と相まって石垣喜幸という世界を創り上げているからこそ、こうしてライヴでその世界に引きずりこまれどっぷりと浸かる事ができる。そんな事を改めて感じた今宵のステージでした。

2017.11.12 石垣喜幸@炎の沖縄居酒屋 抱瓶

6月以来のもーちゃんのステージ。場所は10年前に働いていたという高円寺の抱瓶です。この街をこよなく愛するもーちゃんにとっては数年前に故郷の石垣島に戻っていても「帰ってくる場所」であり、そんなもーちゃんをお帰り!と迎えるお客さんで店内は立ち見も出る超満員です。

2017.11.12 石垣喜幸@炎の沖縄居酒屋 抱瓶

この街で髪を切り、全身コーディネートしたという高円寺仕様のもーちゃんがステージに登場すると、場内はもうやわらかな空気に包まれます。第一部のセットは初めて聴くのであろう曲が中心に進みます。初めて聴く曲なのに聴き憶えのあるようなメロディーラインは懐かしささえ感じます。言葉で表すなら「郷愁」とでも言えばいいのかな。以前からもーちゃんの創り出す世界観に感じる「ケルト文化」的なベースなのですが、これらの曲が耳から入ってくると感じるのは石垣島、八重山の文化です。決して民謡っぽいという話ではなく、あの神々しいまでの風景、あふれる自然の中に神聖なものを見出し、ご先祖様が身近に居るという日常は、まさにケルト文化と相通じるものがあり、この遠く離れたふたつの場所の文化に共通項を感じても全く不思議がないと自分の中で納得しました。

2017.11.12 石垣喜幸@炎の沖縄居酒屋 抱瓶

そんな中おなじみの「都バス」や、おばあさんの事を想い昔書いた曲でようやく今歌えるようになったという「春の子守唄」、石垣島が結び付けてくれる人と人との絆を歌った「結ぬ風」、そしてもーちゃんの真骨頂とも言うべき一言一言のコトバがまっすぐ伝わってきてメロメロにさせてくれる新曲「僕が君を連れていくよ」ともーちゃんワールド全開でセットは展開してゆき、休憩に入った時にはすでに充足感からくる溜息が漏れたほどでした。

2017.11.12 石垣喜幸@炎の沖縄居酒屋 抱瓶

休憩明けはもーちゃんと親交のある芸人さんで、八重山大好きのまいけるさんが登場し「島人の宝」と「海の声」を三線を弾きながら披露。そして第二部は6月のライヴでもサポートされた旧友で鍵盤の高嶺史さんが入り2人のセットです。

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二部のオープニング・チューン「10年」でもう骨抜き状態です。軽妙なトークも挟みつつ、楽しくあたたかい空気の中進むライヴはもーちゃん自身も楽しんでいる事がひしひしと伝わります。「中央線」、そして新曲の「すべてを許し生きるのさ」、キーボードをバックにブルース色の強いアレンジで歌われた「呼吸」と続く頃には、あと数曲だなぁ…生で聴きたいあの曲この曲は歌ってくれるかなぁというドキドキ感が生まれてきました。

2017.11.12 石垣喜幸@炎の沖縄居酒屋 抱瓶

そんな想いを見透かされたかのように始まったイントロでもう完全にTKOを食らいました。自分にとってキラー・チューンのひとつ「永久の夢」です。もう我慢できずに途中の「ウォオ、ウォオオ」のコーラスは一緒に大声で歌ってしまいました。かっこいいったらありゃしない!もーちゃんの曲には「静と動」の魅力があるのですが、この曲はまさに「動」の部分を代表する名曲です。

2017.11.12 石垣喜幸@炎の沖縄居酒屋 抱瓶

最後の曲は新曲ですとの紹介でイントロのキーボードが始まっているのになかなか歌い出さないと思ったら「新し過ぎて歌詞が出てこない!」と持参のファイルを捲り出し場内大爆笑。歌詞を探しながらも流れるキーボードの音に乗って「男はつらいよ」の主題歌を歌い出したので更に大爆笑。ただこれがものすごく良かったのです。改めてしっかりと寅さんの主題歌を聴いてこんな曲だったのか!と思ったのですが、もーちゃん、この曲の歌詞を全部憶えているのなら自作の新曲の歌詞忘れないでよとまたまた大爆笑。そして始まった「あいのうた」はしっとりとした優しい曲で、ふたたびどっぷりともーちゃんワールドに引きずり込まれました。

2017.11.12 石垣喜幸@炎の沖縄居酒屋 抱瓶

そんな浮遊感の中でのアンコールは再びまいけるさんが加わっての「オジー自慢のオリオンビール」です。もーちゃんのライヴは盛りだくさんに色々と詰め込まれそれはそれで楽しいのですが、ライヴの空気の流れとしてはどうなのかなと正直思うこともありますが、盛り上がる場内に自分の頭が固いのかなぁとも思いました。居酒屋さん、まして若い時期を過ごした「帰る場所」であるここ抱瓶です。そりゃ盛り上がらなきゃね。ただ「ライヴ」としてはアーティストの友人知人の方たちが酔って大騒ぎしている中で音が掻き消されるよりも、じっくり聴かせてもらいたいという思いがあります。特にもーちゃんの場合、いつの日かライヴハウスなどでじっくりとフルセットを聴かせてもらいたいと思ったのも、やはり頭が固いのかなぁ。

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ここでリクエスト頂いた曲があると飛び出したのはなんと「天城越え」!!昨年のライヴでも歌われ度胆を抜かされたのですが、妙にもーちゃんが歌うとハマるから不思議です。サビは場内大合唱で「ここはどこ?」という雰囲気でした。

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楽しかったけれど「天城越え」で終わっちゃったら怒るよぉと思っていたら、ちゃんとシメは「静」の代表曲「こだま」です。もうこの曲を切々と歌われたら固かった頭もトロトロにとろけてしまいます。それはまさに歌詞の通り「あなたの想いがこだまする」そのものの時間なのです。何度聴いても鳥肌が立つほどの言葉では言い尽くせない気持ちになります。

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こうしてライヴの幕は閉じられました。来年は新しいCDを作って、それを持ってまた帰ってきますと宣言していたもーちゃん。故郷に戻りお店をやりながらも音楽活動を続け、今夜披露された素晴らしい新曲を創り出し、来年はそれを作品として発表する。以前のようにちょくちょく生で聴くことができる状況では無くなったものの、一歩一歩着実に歩んでいるこのペースがとても素敵だと思うのです。

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もーちゃんが持つ「gift」、それをこうして届けてくれる事が自分にとっては何よりの「gift」なのです。


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Posted by Ken2 at 23:59│Comments(0)
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