2017.6.2 川畑アキラ@阿佐ヶ谷うねり亭

2017年06月02日/ 川畑アキラ

2017.6.2 川畑アキラ@阿佐ヶ谷うねり亭

2017.6.2 川畑アキラ@阿佐ヶ谷うねり亭

最近はザ・コブラツイスターズ1/2としてのツアー街道爆進中のアキラさんが単発的に東京でソロ名義でのライヴをやってくれる。それもサポート・ミュージシャンのいない完全なひとりでのセット。思い起こしてもいつ以来なのか全く記憶にない珍しいステージです。たったひとりでどんなライヴを展開してくれるのかと思いを巡らせながら阿佐ヶ谷に向かいました。会場はこじんまりとした沖縄居酒屋さんで、どこに座っても至近距離でステージスペースに出て来たアキラさんとも普通に会話しちゃうような状況です。

2017.6.2 川畑アキラ@阿佐ヶ谷うねり亭

まずはアコギを手にしたアキラさん、挨拶代わりの「シンガーソングランナー」でスタートです。おなじみのSSRで幕を開けたこの時点で、勝手に膨らませていたソロライヴへの期待がもしかしたらいつもと同じような選曲なのかなぁと萎えかけましたが、その後アキラさんは期待のはるか上をゆく見事なまでにスペシャルなライヴを展開してれたのです。

長年住んだ沖縄を離れて故郷与論島に戻りお店を始めたばかりのアキラさん。生活の時間帯も変わり、朝早く目が覚めるようになり開店準備までに書いた新曲を2曲披露してくれたのですが、頭の中で疑問符が飛び交うような謎に満ちたコミカルな曲と、心の内面を歌った深い歌詞の曲と相反するような2曲でした。

2017.6.2 川畑アキラ@阿佐ヶ谷うねり亭

一部はアコギのみでの演奏が続いたのですが、開演前から直接的間接的に「今日はリクエストに応えてくれるの?」とか、聞こえるくらいにヒソヒソと「◯◯演ってくれないかなぁ」などと面の皮の厚い自分たちはワガママを言っていたのですが、ここでいきなりアキラさんがそんなリクエストに応えてくれて「黒いダイヤの涙」を久しぶりに歌ってくれたのです。それもアコギ一本でのダイヤ。誇張ではなくこれには本当に鳥肌立ちました。シンプルなのに改めてこの曲の素晴らしさを痛感したのです。

2017.6.2 川畑アキラ@阿佐ヶ谷うねり亭

「次はどうしても歌いたい曲を歌います。」とアキラさん。なんでも学生の頃に合唱でこの曲が歌われたのですが、指揮者を任されたアキラさんはタクトを振るだけで歌う事ができなかったとか。それは歌っておかないと。その曲は赤い鳥の名曲「翼をください」で、タクトをギターに持ち替えたアキラさんの指揮の元、お客さんもみんなで大合唱となり、歌声喫茶…いや、フォーク酒場と言うのかな、すごくいい雰囲気でした。

2017.6.2 川畑アキラ@阿佐ヶ谷うねり亭

一部のラストには9年間住んだ那覇を離れ与論に戻ったアキラさんの想いが語られて、そんな気持ちを込めて歌われた「運命(ヌサリ)」。今夜聴きたかった、歌って欲しかった曲の1つである上、これまた初めてギター1本で歌われたのでもうたまりません‼︎ 感極まりました。完敗です。この1曲のためだけに今日来ても良かったと心底思えるほどです。もちろんギターのサポートが入りアキラさんが三線を弾きながら歌われる時も素晴らしいのですが、あくまでもいつもと違うと言う意味で研ぎ澄まされた形状を曲が形取っていて、歌詞の一言一言が深く広く伝わってくるのです。余韻にぼーっとしているまま休憩時間に入りました。

2017.6.2 川畑アキラ@阿佐ヶ谷うねり亭

第2部、三線を手にマイクに向かったアキラさん「ウヮーチタバーリ」でスタートです。今回はいつもライヴ会場でお会いするファンの方々が少なく、8割方がお店の常連さんだと思う客層で、自分たちがいつもの調子で♪イーヤサーサ!とお囃子入れたものでびっくりされている方も多かったのですが、2コーラス目からは一緒に盛り上がってくれました。

2017.6.2 川畑アキラ@阿佐ヶ谷うねり亭

最初に三線で書いたという「三振前のバカ当たり」ならぬ「三線前のバチ当たり」も久しぶりだったのですが、続いて今夜聴きたかったもう1曲を演ってくれたのです。演ってくれたと言いましても、休憩時間になった時にアキラさんの耳に届くくらいの独り言で「辺戸ってくれないかなぁ」「辺戸って欲しいなぁ」などと傍若無人な、側から見ればどう考えてもリクエストをしていたのですがね。アキラさん、それに応えて付き合ってくださり「じゃあ…ここらで辺戸っちゃいます?」と。もうその言葉だけで感無量。さらに始まったイントロから最後の一音まで痺れまくりです。歌い終わってからこの曲の背景を丁寧に説明してくれて、自分の中に入ってきて格納された歌詞にさらに深みが増したような気がしました。この至福の時間から続いて「甦る人々」持ってきちゃうのですから、それはもう拝み倒したいほどです。もうたまりません!

2017.6.2 川畑アキラ@阿佐ヶ谷うねり亭

しっとりと堪能させてくれた後三線をギターに持ち替え「ここで川畑、大好きなロックンロールをいっちゃっていいですか!?」とoh yeah!な空気に一転。これも久しぶりに「それゆけ!イケないメン」をぶちかましてくれたのですが、途中に挟む小ネタが今回は思い切り自分のツボでQUEEN、T-REX、ストーンズのナンバーのフレーズが飛び出して楽し過ぎます。お客さんも一緒になってのコールアンドレスポンスも入り大盛り上がりです。その流れでなのか往年のロックアーティストへのオマージュが詰まった新曲を聴かせてくれました。

この盛り上がった状態で終わりかなと思ったら、ん?このイントロはもしや?ううん、間違いない!なんと早々にリクエストの声がかかっていた「朝日が昇る前に」のイントロです。もうこのギターの音だけでゾクッとしちゃいました。そして熱唱とはこの事です。いや、熱いというよりも半端ない感情移入なのかもしれません。曲が、歌が活きています。歌という名の物語が語られているかのようです。良かったとか、響いたとかいう言葉では表せきれないような、なんかとんでもないもの聴かせてもらっちゃった感覚でした。こうしてアルバム「誠の夢」の曲の大半を一夜にして生で聴くことができ、改めてとてつもなく素晴らしいアルバムだなと思い出させてくれました。

アンコールに応えてくれて歌われた「島の花」は、朝日が昇る前に「島」を出た男が故郷に戻り根をおろし花を咲かせていこうとしている「前に進む」流れのように聴こえたのは気のせいでしょうか。いままで何度となくライヴで耳にする機会のあったこの曲が、これほど深く響いたのは初めて事でした。

2017.6.2 川畑アキラ@阿佐ヶ谷うねり亭

こうしてアキラさんのソロライヴは終了です。精力的にツアーをしてくれるアーティストのライヴって、どんなにお気に入りでも物理的にすべて行かれる事は不可能だし、可能な日程から選んだり、時には今回はパスなんていう事もあります。でも、すべてのライヴはその日その場限りで、そこに居合わせる事ができた者だけに与えられる体験なんだという至極当然の事を再認識しました。アーティストの方は今夜はどんなセットにしようと練りに練ってリハーサルもしてステージに臨むのだと思います。そこにひとりライヴだからとあの曲が聴きたいなどと無茶な事を言ってしまい申し訳なかったと同時に、それに応えて組み込んでくれ、結局これほどまでの素晴らしいライヴに仕上げてくれたアキラさんに感謝感謝です。


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Posted by Ken2 at 23:59│Comments(0)
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