2018.6.16 タマ伸也・川畑アキラ・さとうもとき@早稲田CanColor cafe

2018年06月16日/ タマ伸也/ 川畑アキラ/ その他

2018.6.16 タマ伸也・川畑アキラ・さとうもとき ネバーエンディング3マンライブ早稲田@Music Art & Okinawa CanColor cafe

2018.6.16 タマ伸也・川畑アキラ・さとうもとき@早稲田CanColor cafe

この春先に「毎月10本ライヴをやる!」と宣言し、4月から実際に「ネバーエンディングライブ」と称して全国を飛び回っているタマ伸也さん。各地でミュージシャン仲間を巻き込んでのライヴを展開しているのですが、ブログやSNSを通じて一緒にライヴしませんかと呼びかけた時に最初に呼応したのが、学生時代からの朋友でTHE TWISTARSでツインヴォーカルとしてタッグを組む川畑アキラさんだったそうで、今回はアキラさんと共に大阪、名古屋と回りいよいよ東京へ。さらに今夜は僕にとっては初めましてのさとうもときさんも加わっての同学年3マンライブとなりました。

2018.6.16 タマ伸也・川畑アキラ・さとうもとき@早稲田CanColor cafe

トップ・バッターは川畑アキラさん。アキラさんのソロは久しぶりだなぁ。対バン形式のライヴだとお客さんのすべてが自分目当てで集まった訳ではなく初めて耳にする人もいるので、先ずは三線のみであいさつ代わりの「与論小唄」でスタートです。天井の高い店内に気持ち良く音が響いていきます。さらに弟さんでパーカッショニストの川畑智史さんがサポートに加わり、与論の言葉で”ようこそいらっしゃいました”を意味する「ウヮーチタバーリ」へと続きます。今まで何度も聴いた曲なのですが、今年1月にはじめて与論島を訪れたので島の風景が浮かんでとても新鮮に聴こえました。

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さらに与論ベースの曲「十五夜」「島の花」とお馴染みのナンバーが続いたのですが、やはり自分と曲との距離感が縮まっている感じがしました。その曲が生まれた土地の風を肌で感じるとこんなにも受け止め方が違うものなのだなぁ。思い出したのは実際にその場所に立って眺めて距離感を掴んでから聴くアキラさんのナンバー「辺戸岬」は、それまで以上に心に共鳴するようになったという事でした。歌の背景を自分自身で感じることは僕にとってとても大きな意味を持つのだと改めて思ったのです。

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「シンガーソングランナー」で盛り上がったあとはタマちゃんがステージに呼ばれ、この曲が誕生した頃のトークを交えてからの「甦る人々」です。いつ聴いてもぐっとくる曲ですが、このふたりが並んで奏でる今夜は感慨深いものがありました。

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そのまま智史さんを含めて3人のセットは続き、父の日も近いという事で「親父殿よ~ウヤウムイノウタ~」を。この曲も久しぶりに生で聴くことができ、不覚にも亡き父の事をあれこれと思い出して感傷的な気持ちになると同時に、感謝でいっぱいの気持ちにさせてくれたのです。歌の持つチカラって本当にすごい!

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アキラさんのセットのラストは、ひと足早く夏を運んできてくれたかのような「ティダ」で締めくくりです。3マンという事なので数曲ずつなのかなぁと思っていたら、思った以上にたっぷり聴くことができましたし、全般的に与論フレーヴァーを感じるナンバーが並びました。ふたり揃っているのだからTHE TWISTARSのナンバーも飛び出すのかなと思っていたのですが、それはやはり5人のお祭り男が集結する時にとっておいてあるのかもしれません。

2018.6.16 タマ伸也・川畑アキラ・さとうもとき@早稲田CanColor cafe

短い休憩を挟んで二番手さとうもときさんの登場です。ギターを手にステージに現れたのは良い意味で昭和のシンガーの香りぷんぷんの「漢」でした。木製のステージで草履でパーカッションのようなリズムを刻みながらメッセージ色の濃い「夕焼けとテレビのニュース」で空気を一変させます。(曲名についてはもときさんのブログに掲載されていた最近のワンマンライヴのセトリを参考に歌詞からあたりをつけているので定かではありません)

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正直、メッセージ性の強い曲を立て続けに聴かされたら辛いなぁと思ったのですが、ここからは自らの半生や、育って来た環境、家族などをストレートに歌い上げていく「昭和生まれのブギ」「50年」「親父と愚か者の生き方」と続き、僕よりは若いもときさんですが、歩んできた道は異なるものの同じ時代を生きてきた者として、そのひと言ひと言がまっすぐな言葉だけに尚更心に響きます。次の曲「今日また月を見ている」でも、現実に直面して挫折したり諦めたりする人も多い中、夢を見て夢を追う限り人は上を見上げて前に進み階段を上っていく事ができる、そのカッコよさを言葉と音で見せつけてくれました。

2018.6.16 タマ伸也・川畑アキラ・さとうもとき@早稲田CanColor cafe

まだ出会ったばかりでそんなに親しい訳ではないのだけどと智史さんをステージに呼び、パーカッションで参加させてのラストナンバー「我は魂で世の中を耕す者なり」は大熱演で、僕を含めて半分以上のお客さんは初めてのもときさんのステージであったはずにも関わらず完全にその空気に包みこまれ、一緒に歌い、コール&レスポンスに参加です。告白すると、最初3マンライヴと知ってもときさんの名前をフライヤーで見たときに誰なんだろうこの人、出演者増やさないでいいからタマちゃんとアキラさんがたっぷり聴かせてくれればいいのにと思っていたのです。ところがこの数十分のセットのあと、財布を持ち物販に並んでいたCD全種を手にしていました。対バンのお目当て以外のアーティストにこれほど瞬間的にハマるのって年に1回あるかないかの事ですし、まして知らないアーティストのセットは酷い話ですがどうしてもニュートラルどころか、早くお目当てのバンドに替わってよというマイナスからのスタートになるので、ここまでツボに入るのは相当な事です。本来対バンの醍醐味のひとつなのでしょうが、歳を重ねて尚更新しい音楽との出会いに消極的になっている昨今は滅多にない事と言ってよいでしょう。その喜びを味あわせてくれたもときさん、すごいです!

2018.6.16 タマ伸也・川畑アキラ・さとうもとき@早稲田CanColor cafe

もときさんの白熱したステージが進む中、僕の中でどんどん膨らんでいったのが”これだけ熱いパフォーマンスを繰り広げられると、トリに控える負けず嫌いのタマちゃんに火を点けるに違いない”という思いで、最後の曲でお客さんを巻き込んでの盛り上がりを呈した際にはその思いは確信に変わりました。そんなタマちゃん、ステージに登場するなり「まー、さとうもとき、おとなげない!あそこまでやる!?」と。やっぱり!そしてもときさんの最後の「我は魂で世の中を耕す者なり」がサビで”♪魂~”というリフレインで盛り上がったのをそのままコピーして、歌詞を”♪タマしんやー”に替えて歌い始めるというオープニング。どっちがおとなげないのだかで大爆笑です。その持って行きかたがさすがはタマちゃんで、そのまま「Oh! My Guitar」へと突入し、心得ているお客さんも「すぃんやっ!」のコール。冒頭の数分間で、もときさんのセットの余韻を一気にタマ伸也ワールドに塗り替えてしまいました。

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フラワー・ムーヴメント時代の古き良きアメリカに想いを馳せたさわやかな「Easy Hello」でお客さんのコーラスのハモりを往年のゴダイゴのように客席でパート分けして、その一体感でがっつりと会場を掴んだあとはタマちゃんの真骨頂、誰かに入って勝手に新曲を作ってしまう”入りますシリーズ”の曲が続きます。まずは今は亡きジョン・レノンに入って書いた「LOVE & PEACE FROM 軽井沢」。最初この曲と入りますのコンセプトを聴いた時にはこの人何を言ってるのだろうと思ったものですが、繰り返し聴いているうちに自分まで入ってきてしまっているのか、徐々にジョンのメッセージのような気がしてきているから不思議です。

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ここでアキラさんが呼ばれて披露されたのは、古い沖縄民謡のクレジットで見かける”作者不詳”に入って書き上げた「ゲレンの唄」で、やたらそれっぽいメロディーにアキラさんの三線が加わりさらにそれっぽくなったのですが、むしろアキラさんの”こいつ、何を唄ってんだ?”というような怪訝な表情が爆笑モノでした。

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次は突然刺子半纏を羽織り、ねじり鉢巻きにSNSのフィッシングにひっかかり騙されて買っちゃったようなサングラスをかけて入ったのは吉幾三さん。そして流されたバッキング・トラックでマイク片手に熱唱したのは、その名も「娘酒」。途中、女性のお客さんに紙とマイクを渡され何かと思ったら、結婚式で父親に新婦が読む手紙でした。もう芸が細かすぎて涙が出るほど爆笑しながらもちょっとジーンとしたりして…いかいかん、完全に入ってしまっている!

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アキラさん、もときさんがそれぞれ父親を歌った曲を入れたのに対し、オッサン3人が父親歌っても気持ち悪いでしょと母親の作ってくれたソウル・フードを歌った「すずこのにぎりまんま」では自分自身に入り(ってまぁそれが普通の作詞なのですがね)、ラストは憂歌団の木村充揮さんに入り書いた新曲で「やぶれかぶれの人生」です。もうこの時は逆に木村さんがタマちゃんに入ってしまったかのように歌う表情まで木村さんでした。

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そしてアンコール…と思ったのですが、あまりに盛り上がり過ぎてお店で音を出してよい時間を大幅に過ぎているという事で本日はここまででとなったのですが、収まり切らない僕たちのためにアキラさんがアンプラグドでギターを弾き、3人並んでオフマイクで「今日の日はさようなら」をお客さんと一緒に大合唱という、まるでキャンプの最終日の夜に焚火を囲んでみんなで思い出を噛みしめているかのような雰囲気で、うっかり感傷的になってしまい、まずい完全に入ってしまっていると焦っているうちに終演となりました。

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三人三様のステージを展開しながらも終わってみればトータルして楽しくて、色々なタイプの曲を聴くことができた夜でした。先にも書きましたが、対バンライヴと言っても大抵はお目当ての出演者以外は名前すら記憶に残らないことさえ多いのに、こうしてその日に初めて聴くアーティストのステージにも心が共鳴し気に入ってしまうのは本当に嬉しい事ですし、聴く者の個人差はあることですがセッティングの妙だと思うのです。タマちゃんがこのネバーエンディングライブを通じて、みんなを巻き込んで繋がりを広げていこうという意図を持っているとすれば、僕にとって今夜は正にそれを体現してくれたものでした。そしてもうひとつ感じたのは、楽器やマイクを置いて歩む道を変えざるを得なかった多くのミュージシャンがいる中で、こうして音楽を続けていることのカッコよさです。聴く側、ファン側のわがままもあるでしょうが、ずっと続けてくれる事がなによりの喜びなのです。


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Posted by Ken2 at 23:59│Comments(0)
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