2016.3.27 2016白保フェスティバル@大阪大正区民ホール

2016年03月27日/ 仲宗根"サンデー"哲/ 新良幸人

2016.3.27 2016白保フェスティバル@大阪大正区民ホール

2016.3.27 2016白保フェスティバル@大阪大正区民ホール

石垣島・白保。
美しい海と新石垣空港を擁する人口1600人ほどの地区。
数々の民謡を生み出し、伝統芸能が溢れ、自分が傾倒するパーシャクラブの新良幸人さん、サンデーさんを始め多くの唄者・ミュージシャンを輩出し続けている芸能の神様に司られているかのような集落です。
沖縄にゆかりのある方が多く住まわれる大阪市の大正区。ここの区民ホールで「白保フェスティバル」なるイヴェントが開催され、幸人さん、サンデーさんが出演するということで、地図を頼りに大正区に向かいました。

2016.3.27 2016白保フェスティバル@大阪大正区民ホール

場内に入るとなつかしさを覚えるような小学校の体育館のようなステージと、沖縄でのライヴではおなじみの前方には椅子が並び、後方は長テーブルが縦に配され飲食しながら楽しむという独特の配置で、入口の売店あたりからは泡盛の良い香りが漂ってきます。

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座開きは、大島保克さんがいつも「白保の国歌」と紹介されるおなじみの「白保節」。舞も入りゆったりと進む流れに、幸人さんや保克さんのライヴで何度も聴いている曲の原点を見た感じです。

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司会の芸人さんのMCや、白保からいらっしゃった公民館の館長さんのご挨拶に続き、やはり白保出身の女性演歌歌手の方のステージ。正直どうしようかと思いました。そこで思い出したのは、数年前に行った宮古島での下地勇さんの10周年記念コンサートでも演歌歌手の方が出演されていたことです。いろいろなジャンルの出演者が登場するのは「祭り」の基本なんですね。今日のフェスティバルは「フェス」ではなく「祭り」なのだと改めて認識しました。

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続いては舞踊。これも幸人さんのライヴでおなじみの「夏花」「さこだあっぱ」。以前幸人さんがライヴで綿花を摘んで糸を紡ぎ機を織り、出来た反物を浜で水にさらす内容の民謡だという説明をされていたのですが、舞者の動きがそれを体現していており、白保節同様にいつも聴いている曲の原点を見せてもらいました。

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第一部の締めは獅子舞。白保で旧盆の時に行われ、噛まれたり食べられたりすると福が来ると言われている縁起物だそうです。この獅子舞がなんとも愛嬌があってかわいいのです。あまりにも激しい動きなので、途中さりげなくはけて中の人が入れ替わるそうです。会場内を練り歩き、こどもを咥えて移動したりとそれは素晴らしい獅子舞で、白保では家庭の庭で行われるというので一度実際見に行ってみたいと思ったほどです。

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特筆すべきは、獅子舞の地唄を幸人さんと大泊一樹さんが担っていたこと。10分以上にも及ぶ間三線弾き続けで盛り上げます。幸人さんが三線弾いているのに凝視することなく、目は獅子を追っている自分に笑ってしまいました。

2016.3.27 2016白保フェスティバル@大阪大正区民ホール

後半は約2時間に及ぶ音楽三昧です。トップを飾るのは一五一会を携え登場した迎里計さん。何度かライヴのゲストやサポートで拝見しているのですが、単独のセットは今回が初めてです。優しい歌声、優しいメロディーで暖かい空気に会場が包まれました。年輩のお客様から花金(ご祝儀)も届けられて、さらにお祭り感はアップです。

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続いては唄三線の大泊一樹さん。アコギのサポートの方とのステージです。民謡をも含むセットでじっくり聴かせてくれます。

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最後に島のあじゃ(兄貴)3人を紹介しますと呼び込まれたのが迎里さん、そして幸人さんとサンデーさんです。このメンバーで「デンサー節」を披露。会場にはたくさんの先輩がたがいらしたのでしょう。幸人さんは唄い終わったあと「まだ唄っていただく立場なのに、高いところから教訓歌を唄わせてもらいました。」という挨拶が印象的でした。もう1曲「ジントヨーワルツ」で共演は終了です。

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そしていよいよ待ってましたの幸人さんとサンデーさんのセットです。
「大阪oh yeaaahhhh!!!」といういつもの挨拶から始まった「花染手拭」でもう一瞬で場内の空気はビシッと変わりました。それまでの祭り感からライヴの空気へと入れ替わったのです。実際は「祭り」の経験がないのであくまでもイメージですがね。

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今月はじめの石垣ライヴのレポートでも書きましたが、リズミカルな曲はもちろんなのですが「ファムレウタ」でサンデーさんの島太鼓の音が彩りを加えるところが大好きです。それはまるでファムレウタ(子守唄)に合わせて、お母さんの手が背中を軽く叩いてくれて眠りに落ちてゆく気持ちよさのようです。

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「風ぬイヤリ」も普段のソロライヴで手拍子が始まると、「俺のリズムでやらせて!」と幸人さんにたしなめられてしまうことも多いのですが、今日は自ら手拍子を促すような仕草。これもサンデーさんが後ろでキッチリとリズムをキープしているから、我々の手拍子も速くなったりすることなく続けられるからなのだろうなぁ。

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主にオリジナルの曲を中心に進み、最後は迎里計さんを呼び、彼の一五一会を加えての「満天の星」でしっとりと幕を閉じました。

これで終わりかなと思ったら、幸人さんが「さぁここから白保フェスティバルの始まりだよ~」と言う言葉と共にステージを降り、代わって登場の大泊さん、そしてサンデーさん、迎里さんの3人でやたらと陽気な曲が始まりおくちポカーンな状態でいると、ステージには体操服姿の人が小旗を手に出てきて踊り始めたのです。創作ダンスなのかと思っていたら、お年寄りも含めて何人もの方がステージ前のスペースに進み出て同じ踊りをし始めたのです!もうなにがなんなのやら…。歌詞を聴いて謎が解けたのですが「白保中学校」の校歌でした。校歌に決まった踊りがあるなら、白保出身の方達はみなさん踊れるわけですよね。

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ここからは「さよなら港」に乗せて色んな仮装をした人がステージに現れ手は客席内を練り歩き場内大盛り上がりです。幸人さんの「これから」というのはこういう事だったのか!きっと地域の祝い事や公民館でのお祭りでは、こうやって老若男女入り乱れて盛り上がるのだろうな。

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そして幸人さんもステージに戻り、司会の方が「最後はモーヤーで締めくくりましょう!」と言うのですが、ん?モーヤー?と再びおくちポカーンとなっていると、カチャーシーの事を八重山ではモーヤーと呼ぶのですね。お祭りの最後の定番のようです。そしてクールダウンするかのようにこちらも定番の「弥勒節」が最後に唄われました。この曲の歌詞「弥勒様の世がやってきた 遊ぶ時は遊び 踊る時は踊りましょう」の通り、みんなで唄って踊って楽しんで、弥勒さまへ感謝して祭りは終了です。

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今回の白保フェスティバル、ぶっちゃけ幸人さんとサンデーさんが出演されるのでそれ目当てで行った訳ですが、もうちょっと聴きたかったなぁというのも正直あります。全体のプログラムの中で、言葉は悪いかもしれないけど、この「お祭り」の中に組み込まれている事に多少の違和感さえ感じました。
ただ視点を変えて見れば、お二方が出演してくださったおかげで自分はこの祭りに参加す事ができ、今まで経験した事のない集落のお祭りの雰囲気と、受け継がれている伝統を大阪の地で感じて垣間見る事が出来た、あたたかくて楽しいフェスティバルでありました。

もしかしたら、普段のライヴ会場でお祭りのように飲んで騒いでいる人たちが周りには迷惑なように、逆にお祭りはお祭りとして臨むものであるのかもしれませんね。



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Posted by Ken2 at 23:59│Comments(0)
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