2016.3.9 新良幸人withサンデー『ゆがふライブ』@石垣市民会館中ホール

2016年03月09日/ 仲宗根"サンデー"哲/ 新良幸人

2016.3.9 新良幸人withサンデー『ゆがふライブ』@石垣市民会館中ホール

2016.3.9 新良幸人withサンデー『ゆがふライブ』@石垣市民会館中ホール

幸人さんとサンデーさんのフルライヴは、毎年年末に那覇で行われているのですが、仕事の忙しい時期で行く事が出来ません。今回、その2人が単独ライヴをこの時期に、それもおふたりのルーツである石垣島の市民会館で!演奏されるであろう多くの曲が生まれた島でその曲が聴かれるし、地元のお客さんはきっと特別な反応をされて祭りみたいになるのではと様々な想いが右手の人差し指に集まってゆき、航空券予約のクリックを迷い無く押しました。

2016.3.9 新良幸人withサンデー『ゆがふライブ』@石垣市民会館中ホール

雨の南ぬ島新石垣空港に降り立ち、バスで白保の景色を眺めているだけでたくさんの民謡が頭で流れ、そのあと訪れた崎枝では「繁盛節」の風景に浸り、完全に気持ちのスタンバイは出来上がり夕方を迎えました。向かった市民会館はとても立派なホールで、今夜の会場は半蔵門のTOKYO FMホールを思い起こすようなホールで更に期待が高まります。今回は石垣島の映像会社の25周年を記念するライヴで、ヴィジュアル的にも凝った作りのステージのようです。

2016.3.9 新良幸人withサンデー『ゆがふライブ』@石垣市民会館中ホール

場内が暗転し映像が流れたあと幸人さん、サンデーさんの登場です。いきなりステージ前に花火の火柱が上がる演出にびっくりです。そんな中、「白保節」「真謝井」「桃里節」の白保三部作でスタートです。朝バスの車窓からですが眺めた景色とリンクして、この場所で聴いているという興奮にゾクゾクしてくるほどでした。そして「真謝井」の途中で幸人さんが歌詞に詰まってしまうハプニングがあったのですが、すかさずお客さんが大合唱でカヴァーして進みました。もうこのシーンには鳥肌が立ちました。自分たちだといつも聴いていても、せいぜい合いの手の部分くらいしか歌えない方言の歌詞を、ごく自然にみなさんが歌っている。その事だけで今自分は本当に石垣島でこの曲を聴いているんだという実感が強くなり胸がいっぱいになったのです。

2016.3.9 新良幸人withサンデー『ゆがふライブ』@石垣市民会館中ホール

3曲を終えて幸人さんのMC。「ただいま!」で始まり、意外な事に石垣で演るのは緊張するとの話に。小さい頃から知っていらっしゃる方たちの前でのライヴは、アットホームな感じなのかと思っていたら、幸人さんにしてみれば逆に緊張感をもたらすものなのだなぁ。

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続いて「夏花」「さこだあっぱ」とお馴染みの曲が続き、そして自分が初めて幸人さんの声と出会って一目惚れならぬ一耳惚れした「小浜節」へと流れ、またまた震えるような興奮です。明日は船に乗って小浜島に行っちゃおうかなと心動かされました。途中女性の声が聴こえて来て、あれ?テープじゃないよなぁと思っていると金城弘美さんが歌いながら登場しびっくり。幼なじみの共演にうっとりです。

もう1曲金城さんとの共演で、高校時代に同じ部活で活動していた面々がこうして時を経て共演しているということがなんとも素敵なことだなぁとあたたかい気持ちになってきました。

2016.3.9 新良幸人withサンデー『ゆがふライブ』@石垣市民会館中ホール

一部の最後は「春になると…大きな蝶々と小さな蝶々が…」のお馴染みのセリフとともに「綾蝶」で締めてくれました。

短い休憩のあとの第二部は「赤ゆらの花」「花染手拭」で始まるオリジナル曲中心に。19歳で那覇に移った幸人さんがホームシック中で石垣を思って作った曲を、その故郷で歌い、それを聴いているという感覚は、まさにここでしか感じられない言葉では表現できない深さを感じました。

2016.3.9 新良幸人withサンデー『ゆがふライブ』@石垣市民会館中ホール

背景に島の海、山、自然が映し出される中の「ファムレウタ」は絶品です!時の流れがこの時はゆっくりなったような、それほど豊かな自然に囲まれたこの島の雄大さを五感で感じた1曲でした。

2016.3.9 新良幸人withサンデー『ゆがふライブ』@石垣市民会館中ホール

サンデーさんの島太鼓は魔法のようです。2つの太鼓はもちろん打楽器でリズムを取るわけなのですが、アップテンポな曲では曲に彩りを加えて華やかにし、スローな曲では打楽器として叩いている音なのに、それがかえって曲に静寂感を与えるのです。どちらも曲に寄り添うかのように溶け合い、幸人さんのソロでのライヴの時の音の何倍も豊かなものにしているのです。これはやはり魔法です。

2016.3.9 新良幸人withサンデー『ゆがふライブ』@石垣市民会館中ホール

ここまでの流れでいろいろな事が胸に去来したのであろう幸人さんは、予定にない1曲を増やしてもいいかと話し始め「十九の春」を追加。ちょうど19歳の春に島を出た幸人さんが、30年を経た春にこうして故郷のステージに立ちこの曲に想いを込めてを歌いたくなったと。いいなぁ、こういうの!だってライヴだもの。生きているもなんだもの。その場で歌いたくなった曲を歌ってくれるって最高でしょう。

最近のライヴではよく登場する美しい曲「ジントヨーワルツ」、定番中の定番「浜千鳥」と幸人さん、サンデーさんの繰り出す音空間に漂う心地よさは、特にきれいな音響のホールであるからこそです。

終盤は「加那よ」「天川」で一気に上り詰めていきます。自分としては意外な事だったのですが、地元のライヴということで、それこそいい気持ちになったお客さんから幸人さんに僕らにはわからない方言でツッコミが入りそれに幸人さんがやり返すなどの雰囲気を想像していて、ある意味楽しみにすらしていたのですが、そんな事は一切なく、会場全体があたたかく見守り、盛り上げ、酔いしれ、我々の島のふたりのステージを最高の時間にしようという空気が素晴らしかったのです。よく地方のライヴで見かける先輩風吹かせたような年輩のお客さんが上から目線で茶々入れて、空気を台無しにしてしまうような事とは対極にあるもので、想像を良い意味で裏切られて本当に良かったです。

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アンコールではまず幸人さんひとりで、イサムさんとともに竹富島を想って書いたという「Danny Boy」を。そして再び背景にスクリーンが現れ、夜空の映像が映し出されて「満天の星」です。流れ星も見えて気分は最高潮です。最後に再び火花が上がり、テープと紙吹雪が発射されるという正直なんで?という演出もありましたが、今回は映像会社の25周年を祝うライヴですから、祭りの締めということなんでしょうね。

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こうして2時間に及ぶライヴは終演です。僕自身、好きな曲に出会うとその曲が生まれた場所に行って、その風景の中で風や空気を感じながら聴く事が大好きで至福の時なのですが、ホールという空間の中にありながらも今自分が石垣島にいて、ここで生まれた曲を聴いているという事によって同等の至福の時間を過ごす事のできたライヴでした。ひとことであらわすなら「かふー(果報)」な時間でした。

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Posted by Ken2 at 23:59│Comments(0)
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