2017.10.2 金城優里英@Live & Shot.bar TARUMASSYU

2017年10月02日/ 金城優里英

2017.10.2 金城優里英@Live & Shot.bar TARUMASSYU

2017.10.2 金城優里英@Live & Shot.bar TARUMASSYU

昨日の琉球フェスティバルの余韻も残り、まだすっかり脳内が沖縄モードの中、今夜は金城優里英さんのライヴ。自宅から会場の西大井タルマッシュに向かう道すがらも、気分的には那覇にいるかのようでした。

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第一部は一年前に初めてこの会場でライヴを行った時と同じいでたちでの登場です。(あ、始めにお断りしておきますが、沖縄民謡ニワカの自分ですので、いつもながら演目はわかった曲、紹介してくれた曲の記憶頼りなので中途半端でごめんなさい。)いつも優里英さんのライヴは「誰も知らないような、盛り上がらない曲」を中心に構成されているのですが、今夜は割と手拍子などもできるお馴染みの曲もあり、沖縄民謡への造詣ゼロの自分でも聴きおぼえのある曲もありました。「スンサーミー」から「なうりうりうり~」というフレーズがかわいらしい速い曲へと繋がり、それからご挨拶に続いてお囃子で参加できる大好きな「ケーヒットゥリ節」と進みます。

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優里英さんが三線めちゃめちゃ巧いのは周知の事実です。それに加えて最近のライヴでは「唄」の深みを感じるようになり、以前にも増して引き込まれていきます。今夜は三線はもちろんなのですが、唄に重点を置いて聴いてみようと思っていました。そんな心づもりと合致したかのようなナンバーが続きます。羽根があるならあなたの住む遠いあの島まで飛んで行きたいという想いを切々と唄う「白雲節」、タイトルからの想像で多分手紙を書いても返事がないという切なさを唄っている「片便い」、「水んもらさん二人が仲」と続く情け歌の数々はうっとりと聴き惚れてしまいました。年齢を重ねることによって味が出るというのはあるのかもしれません。ただ、造詣ゼロの自分が思うのは確かにキャリアや年齢でテクニックは巧くなるのかもしれませんが、あなたの島に鳥になって飛んで行きたいのーと唄うのであれば、それは今の優里英さんくらいの年齢の女性が想う感情だと思うのですよ。ですから優里英さんの唄にはそれが素直に表れていて、歌詞が聴き取れる訳でもないのに切なさや恋心がストレートに伝わってくるはずです。下世話な例ですが、いま松本伊代ちゃんが「伊代はまだ16だから~」と歌ったところでイヤイヤ違うし!ってなるし。(まぁ、伊代ちゃんを例に出して味とかテクニックを語るのもどうかと思いますが…)そんな事を感じながら優里英さんの「唄」の世界に浸りました。第一部のシメはそんな若い優里英さんに月日の流れは速くあっという間に過ぎていくのだからボーッとしているなよと唄われる、登川誠仁さんの「油断しるな」を聴かされ、オジサンが逆に切なくなり休憩に入りました。

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第二部は鮮やかなブルーのシャツに着替えての登場です。まずは「やっちゃー小」など3曲ほどを披露。軽妙なトークで笑わせてくれながらステージが進みます。

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ここで今回同行されているお母様の清美さんが呼ばれます。ちょうど今日がお誕生日という清美さんとの母娘ユニット「てるしの」が久しぶりに東京でのステージです。胸の内に秘めた想いを伝えられない苦しさを唄った「想いションガネー」を唄う清美さんのなんと艶っぽい事!先ほどの若さという話とは矛盾してしまうのですが、その艶やかさはやはり人生経験から醸し出されるものなのかもしれません。鼻血でそうになりながらうっとりと聴き惚れてしまいました。

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そして沖縄の不動産屋さんのCMのBGMにひっそり流れているという伊江島民謡では、優里英さんの三線と清美さんの三板でふたりが唄います。とても良い雰囲気です。

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今夜はもう1人ゲストが控えていました。石垣島の唄者、西原和希さんです。先輩風吹かせる優里英さんに紹介され登場した和希さんは今時の若いお兄ちゃんで、失礼ながら正直言ってこんなお兄ちゃんが何を唄うのよって思ってしまいました。シージャー(年長者)の優里英さんに「三線貸すから、ひとりで一曲演ってみなさい。」と半ば強制的に命令されビビる和希さんがマイクの前に立ち、先ずはアカペラで「安里屋節」を唄い始めたらビックリ!もう鳥肌たつような歌声なのです!さらに三線を弾きながらの2コーラス目以降はもう脳裏に八重山の神々しい風景が浮かんでくるほどです。こんなお兄ちゃんがなんて思って本当にごめんなさい。改めて石垣島白保に根付く伝統文化の伝承のチカラを耳で、肌で痛感しました。

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そしてシージャーも加わり、優里英さんの唄三線と和希さんのアコギによるふたりでの新ユニットTHE AMAKAWA meetingの東京初ステージです。いきなりインスト曲でびっくりさせたあと、もうこの選曲は反則だよって思うくらいツボついてきたサンサナーの名曲「ンマリジマ」が飛び出して再び鳥肌です。なんて美しい曲なんだろう。優里英さんの唄三線はもちろんの事、和希さんの奏でる優しいアコギの音がサンサナーでのバンドサウンドとはまた違った郷愁を感じさせてくれます。

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最後は優里英さんひとりでのラストチューン「謡ぬ道」(「歌ぬ道」かな?)です。三線を練習されている方にはこの曲の歌詞をぜひ心に留めて欲しいのです。ただし歌詞は自分で調べてくださいと突き放すツンデレっぷりで唄われたこの曲、言われた通りに後から調べたところ「歌てぃ語やびら御万人の肝に 歌の節々に心くみて(歌い語ろう多くのみなさんの心に 歌の節々に心を込めて歌おう)」と唄われています。その歌詞を読んで、今夜優里英さんの「唄」を重点的に聴き、その深さ、優しさ、表現力を強く感じた自分には、正にその通り!と膝を打つような思いでした。心を込めて唄われた歌が、まっすぐ自分の心に届いてくる、それが「唄」なんだなぁ。最後にこの曲を持ってきてくれた事に大きな意義を感じました。

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アンコールは再びTHE AMAKAWA meetingでのステージです。和希さんのアコギに優里英さんの三線が…え?このイントロ、もしかして?そうなんです、我らがParsha cluBの名曲「ファムレウタ」だったのです。交互にヴォーカルを取り、最後はハモるという構成で、これまた反則級の選曲!これまた鳥肌もの!いいもの聴かせてもらいました。終演後に思わず息子ほどの年齢の和希さんに「素敵な唄声、ありがとうございました!」と御礼を述べてしまったほどです。

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こうして盛りだくさんの優里英さんライヴの幕は閉じました。今夜の自分の臨み方だとライヴというより「唄会」と呼びたい、そんなステージでした。前述の「謡ぬ道」の歌詞にこんな一節がありました。「謡や我が心 肝ぬ門開きてぃ 手に慣れし三味に 我が唄乗してぃ(歌はわたしの心 心の門を開いて 手に慣れた三線に私の歌を乗せて)」。今夜のライヴ、この一節がすべてを語ってくれている、そう思いました。


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Posted by Ken2 at 23:59│Comments(0)
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