2017.9.20 DURAN DURAN / CHIC featuring NILE RODGERS@日本武道館
2017年09月20日/ 洋楽
2017.9.20 DURAN DURAN / CHIC featuring NILE RODGERS@日本武道館

81年のシングル「Planet Earth」で出会い、一気に自分にとってアイドル級のバンドになったDURAN DURAN。それはもう部屋にポスター貼りまくり、違うヴァージョンのレコードを買い漁り、ビデオを上映するだけの「フィルム・コンサート」さえも足繁く通うほどのミーハーぶりでした。それから36年。メンバーの出入りなど紆余曲折を経ても今なお現役で活動を続けています。一昨年、14枚目のアルバム「Paper Gods」を発表し、原点回帰のようなサウンドに大興奮しましたが、リリースと同時に始まったワールド・ツアーはヨーロッパ、北南米を1年半かけて回ったものの、やはり今回も日本は無しかと諦めていたら、降って湧いたかのようにツアーの最終公演地が日本となったのです。それも東京は武道館で彼らが影響を受け、古くから親交があり、「Paper Gods」のプロデユーサーでもあるナイル・ロジャース率いるCHICとのジョイントという夢のような夜になるとの発表に狂喜し、チケットを手にしてからはワクワクが止まらずに当日を迎えました。

平日の17:30と開場時間が早く、仕事帰りに来る人が多いだけにオープニング・アクトのBloom Twinsが登場した頃にはまだ客席はまばらな状態でした。彼女たちの20分ほどのステージのあとセット・チェンジの頃にはだいぶ席も埋まってきて18:30過ぎにCHICのスタートです。さらっとステージに登場したナイル・ロジャースが放つオーラが半端ない!CHICはいわゆるヒット曲は知っているくらいなのですが「Everybody Dance」「Dance, Dance, Dance」「I Want Your Love」と70年代のディスコシーンを飾った大ヒット曲を立て続けにやられたものだからもうたまりません。久しぶりにライヴで踊りまくりでした。ナイルの代名詞であるギターのカッティングも冴えまくりかっこいいったらありゃしない。ここからはソングライター / プロデューサーとしてのナイルの代表曲が続き、ダイアナ・ロスの「I'm Coming Out」「Upside Down」、シスター・スレッジの「He's the Greatest Dancer」「We Are Family」、そしてマドンナの「Like A Virgin」とすべて一緒に歌って踊れる大ヒット曲で場内は一気にヒートアップです。

2011年にガンである事を公表し、今回の来日の前に体調不調で一晩アメリカでのステージをキャンセルしていたナイルなので、体調を心配していましたが「人生にには色々な事があり、良い事も悪い事もあります。私にとって良い事があります。ガンが完治しました!」という話とともに演奏されたダフト・パンクの「Get Lucky」も印象的でした。そしてこれも忘れられないナイルのプロデュース作品、デヴィッド・ボウイの「Let’s Dance」まで飛び出してもうお祭り状態です。改めてナイルの経歴の凄さを見せつけられたようでもあり、やはりこの人すごいや!と敬服です。そして場内の興奮がピークに達したシメはもちろんCHICを代表する大ヒットナンバー「Le Freak」「Good Times」の2曲でした。背景のスクリーンに映し出されたミラーボールの映像にやたらテンションが上がったのは年代でしょうか。こうして1時間のセットは終了です。先日見に行ったトレヴァー・ホーンが70年代終わりから80年代の英国音楽シーンを創り上げたことを痛感するライヴであったのと同様に、同じ時代のアメリカを中心とした音楽シーンを創り上げた音楽職人の仕事を凝縮したかのような、想像をはるかに超えた楽しさと凄さを満喫できたステージでした。

セットチェンジを経て20時ちょっと前、いよいよその時がやってきました。場内が暗転すると、雷鳴とともに稲妻の如く光るライティング。それはまるで神が降臨する前の天地創造のようです。そして荘厳なミサ曲のように流れる「Paper Gods」のイントロ。ステージ中央の高いところに姿を現したサイモンが ”Bow to the paper Gods in a world that is paper thin. The fools in town are ruling now…”と歌い始める。そして眩いライティングと共にビートが刻まれ始めると場内は総立ちで縦揺れです。目の前にふたりのサポートミュージシャンとふたりのバックシンガーとともにサイモン、ジョン、ニック、そしてロジャーが戻って来てくれた事がまだ夢を見ているようでした。

サイモンの「TOKYO!!!」の叫びと共に繰り出されたロジャーの刻むリズムでもう半狂乱になってしまったのは、レコードで聴いたりPV見たりした時にはなんてクソつまらねぇ曲なんだと思っていたけれど、初めてライヴで聴いた時に生でのかっこよさに度胆を抜かれた「The Wild Boys」だったからです。こんなに早くにやっちゃうの!?という驚きと、この血沸き肉躍る感覚にシビレまくりで、ほぼフルコーラス一緒に歌っちゃいました。

「I Don't Want Your Love」そして007映画の主題歌「A View To A Kill」と続き、サイモンのMCが「今回のツアーの最後の地にこの日本を選んで、ツアーの映像を収録することにしたんだ。Paper Gods Tourアット・武道館だ!なんで武道館を選んだかって思うだろ?それは今まで活動してきた中で、日本のファンの放つエネルギーと僕等への愛が最高だからってわかっているからなんだよ。さぁ、あとは君たち次第だよ!」などと言われちゃうと、アラフィー以上のおじさん、おばさんたちはもう三十年以上前の自分に戻って絶叫です。貴公子はいつまで経っても貴公子なんです!!

映像化するということもあってか、最近のツアーのセットリストとだいぶ変わっていて、最新作からのみならず、この数年の曲をバランスよく配しており「Come Undone」「Last Night In The City」「Only In Dreams」「Love Voodoo」と続いていきましたが、「Last Night In The City」の時、機材のトラブルで音が途絶えてしまったのですが、サイモンが「ごめん!今夜は収録があるので、もう一度やり直させて。1個の値段で2個買えるみたいな事だと思ってよね。」と頭からやり直し。なんだか本当に得した気分でした。

サイモンの妙なダンスは相変わらず健在でありながらも、以前よりもキレが増しておりかっこいいフロントマンでした。

ジョンは年歳を重ねてもやはり絵になる貴公子で、ベースを弾く姿にはもう惚れ惚れしちゃいます。

相変わらずおすましなニック。後方のキーボードからバンドサウンドの要として総括しています。

自分のアイドル、ロジャーは今もドラムセットに埋もれて黙々と上目使いでリズムを刻み続けており、やはり自分にとってはアイドルのままでした。

ここで「もう長い間の付き合いのこの人を紹介しよう!」というサイモンの紹介でステージに再び登場したのはナイル・ロジャース。まさかここ日本で同じステージに立つ姿を見られるだなんて想像すらしなかった光景です。そしてサイモンが「誰かさん、誕生日だったよね?」とナイルの元に寄り、運ばれてきたケーキと共に「さぁみんなで歌おうぜ!」と前日誕生日だったナイルを「ハッピーバースデー」でお祝いです。

ナイルとの共演ならもちろん「Notorious」と、最新作での共作ナンバー「Pressure Off」です。シャカシャカというナイルのギターのカッティングがグルーヴィーなノリを織りなし、変な表現ですが「うわぁぁぁ!本物だ!今夜はオリジナルだ!」と大興奮。「Pressure Off」でとてつもない量のピンクと白の紙吹雪が噴出してさらに場を盛り上げてくれました。

ナイルがステージを降りると同時に流れ始めたイントロは…え?…まさか!?よく漫画で興奮した登場人物の頭のてっぺんで火山が噴火するっていうのがありますが、まさにあの状態になったのは、その曲がアルバム「Rio」に収められている飛びっきり大好きなナンバー「Hold Back The Rain」だったからなのです。それもスクリーンには80年代の画像がコラージュされ映し出されたからもうたまりません!今回セットインするとは微塵も考えていなかったので鼻血モノでした。

「Paper Gods」からの「Face For Today」を挟み、サイモンが語りかけます。「次の曲は僕にとってとても意味のある曲で、言ってみれば生き残る術についての曲なんだ。日本に来て核廃絶を求める流れを強く感じでいるのだけど、これは核戦争をやめようという曲でもあり、どんどん危険が蔓延してきている今の世の中を平和で安全な世界にするのは僕達みんなの務めであり、この曲を世界の平和と安全に捧げます。」という曲紹介で始まったのは、93年にリリースされ、起死回生の大ヒットとなった名曲「Ordinary World」です。そんな彼らの想いが込められたこの美しいナンバーに応えるかのように、気付くと八角形の武道館はスマホのライトに溢れており、胸がいっぱいになるような空間となりました。

次は2004年のシングルヒット「 (Reach Up for the) Sunrise 」だったのですが、ここで再び鼻血モノだったのが、後半部にスクリーンに太陽のグラフィックから一転満月の画像が映し出されたかと思うと、これまたメチャクチャ大好きな「New Moon on Monday」のサビの部分がインサートされたのです。時間にすると数十秒間なのですが至福の時間でした。

ここからエンディングに向けて一気に上げていきます。先ずは印象的なPVが繰り返し流されたMTVから火が点いて遅まきながら82年にアメリカでもようやくブレイクするきっかけとなった「Hungry Like the Wolf」です。イントロのカウントと笑い声が始まると体力温存していたかのようなお客さんたちも、この曲にはもう明日の仕事の事など考えていられないかのように飛んで跳ねて歌って叫んでと、みんなタガが外れたかのように思い思いのスタイルで盛り上がりました。

続いてグランドマスター・フラッシュの曲を95年にカヴァーしてヒットさせた「White Lines (Don't Don't Do It)」。このリズムにはじっとしてなんかいられません。みんなでFreeze! Rock!のコール&レスポンスしながら踊り狂いました。

そして大幅にアレンジされていて最初はなんだろうと思っていたら、カメラのモータードライブ連写音でわかりました!そう「Girls on Film」です!「グラビアの美少女」です!!81年リリースの3枚目のシングルだから、もう36年も前の曲なのに今でもこの曲やられたら大興奮です。途中メンバー紹介を交えつつラストのこの曲で、もう自分は出し尽くした感がありました。アンコールは別腹ですが。

アンコールの手拍子をしながらも一旦着席して、水を飲み呼吸を整えます。ステージに戻ってきてくれたメンバーたちの背後のスクリーンには宇宙の美しい映像が映し出され、興奮を抑えてくれているかのように「Paper Gods」のラストを飾る「The Universe Alone 」がワンコーラス静かに歌われ、そこから繋がったのはこれも待ちに待っていたイントロ「Save A Prayer」です。サイモンが「歌詞を知っている人は一緒に歌って!知らなかったらスマホのライトを振って!」と語りかけたのですが、もちろんみんな歌いながらスマホを点灯です。長いキャリアでたくさんの聴きたい曲があり、今回もあとから思い返して「あの曲やってない」というものがたくさんありましたが、やはりこの曲は外せないナンバーです。

「Save A Prayer」の創り出した美しい時の余韻に酔いしれていたらスクリーンに浮かび上がったおねえさんの顔のイラスト。そうラストを飾るのは「Rio」です!途中たくさんの巨大な風船がアリーナに向けて放たれ客席を飛び回り、さらにそれに加えてたくさんの色の紙吹雪が噴出して、武道館はまさにカーニヴァル会場の様相です。そんな中での「Rio」はもうメンバーも自分も年齢なんて関係なく、いくつであろうがDURAN DURANと自分という初めて彼らのライヴを見た時と何も変わってはいない関係であり、それがとても嬉しい感覚でした。

演奏が終わりステージ前方に並んで挨拶をするメンバーに、自分も含めておじさん、おばさんたちが、それぞれお気に入りのメンバーの名前を絶叫しながら手を振っていました。これこそ「何も変わっていない」証しであり、すごい事だと思うのですよ。30年以上経てば、みんな生活から社会的な責任までいろんな物を背負って日々を過ごしながら、そんな中今夜武道館にやって来て、サイモーン!ジョーーーンっ!ロジャーァァァァ!!ニーーーック!って叫んでいるのですから。わからない人にはわかってもらえない感覚なのでしょうがね。ミーハー上等!

DURAN DURANの嬉しいところは形態が変わりつつも継続してきている事なのです。今回も「Paper Gods」という素晴らしいアルバムを発表してのツアーで、いわゆる「なつかしの人たち」ではない、現在進行形のバンドであり、新しい曲、そして想い入れたっぷり詰まった昔の曲をバランスよく配置してくれた今夜のセットに大満足でした。

最後にとてもプライヴェートな話にはなりますが、妻と自分との出会いのきっかけはDURAN DURANでした。お互いに離れた土地で、別の時間で育って来たのですがDURAN DURANのファンだという1点を通して接点ができ現在に至っています。今夜武道館のアリーナで、こうして出会うきっかけとなり、その後もファンを続けている彼らのライヴを一緒に並んで、笑顔で肩組んでスマホのライトを振り、歌い叫びながら見ているという時間の流れにとてつもない幸せな気持ちとなった事は、忘備録としてのライヴレポートだけに記しておきたいと思います。
■ SETLIST ■
= CHIC featuring NILE RODGERS =
Everybody Dance
Dance, Dance, Dance (Yowsah, Yowsah, Yowsah)
I Want Your Love
I'm Coming Out
-Upside Down
-He's the Greatest Dancer
-We Are Family
-Like A Virgin
Get Lucky
Let's Dance
Le Freak
Good Times
= DURAN DURAN =
Paper Gods
The Wild Boys
I Don't Want Your Love
A View To A Kill
Come Undone
Last Night In The City
Only In Dreams
Love Voodoo
Notorious
Pressure Off
Hold Back The Rain
Face For Today
Ordinary World
(Reach Up for the) Sunrise / New Moon on Monday
Hungry Like the Wolf
White Lines (Don't Don't Do It)
Girls on Film
-encore-
The Universe Alone / Save A Prayer
Rio
81年のシングル「Planet Earth」で出会い、一気に自分にとってアイドル級のバンドになったDURAN DURAN。それはもう部屋にポスター貼りまくり、違うヴァージョンのレコードを買い漁り、ビデオを上映するだけの「フィルム・コンサート」さえも足繁く通うほどのミーハーぶりでした。それから36年。メンバーの出入りなど紆余曲折を経ても今なお現役で活動を続けています。一昨年、14枚目のアルバム「Paper Gods」を発表し、原点回帰のようなサウンドに大興奮しましたが、リリースと同時に始まったワールド・ツアーはヨーロッパ、北南米を1年半かけて回ったものの、やはり今回も日本は無しかと諦めていたら、降って湧いたかのようにツアーの最終公演地が日本となったのです。それも東京は武道館で彼らが影響を受け、古くから親交があり、「Paper Gods」のプロデユーサーでもあるナイル・ロジャース率いるCHICとのジョイントという夢のような夜になるとの発表に狂喜し、チケットを手にしてからはワクワクが止まらずに当日を迎えました。
平日の17:30と開場時間が早く、仕事帰りに来る人が多いだけにオープニング・アクトのBloom Twinsが登場した頃にはまだ客席はまばらな状態でした。彼女たちの20分ほどのステージのあとセット・チェンジの頃にはだいぶ席も埋まってきて18:30過ぎにCHICのスタートです。さらっとステージに登場したナイル・ロジャースが放つオーラが半端ない!CHICはいわゆるヒット曲は知っているくらいなのですが「Everybody Dance」「Dance, Dance, Dance」「I Want Your Love」と70年代のディスコシーンを飾った大ヒット曲を立て続けにやられたものだからもうたまりません。久しぶりにライヴで踊りまくりでした。ナイルの代名詞であるギターのカッティングも冴えまくりかっこいいったらありゃしない。ここからはソングライター / プロデューサーとしてのナイルの代表曲が続き、ダイアナ・ロスの「I'm Coming Out」「Upside Down」、シスター・スレッジの「He's the Greatest Dancer」「We Are Family」、そしてマドンナの「Like A Virgin」とすべて一緒に歌って踊れる大ヒット曲で場内は一気にヒートアップです。
2011年にガンである事を公表し、今回の来日の前に体調不調で一晩アメリカでのステージをキャンセルしていたナイルなので、体調を心配していましたが「人生にには色々な事があり、良い事も悪い事もあります。私にとって良い事があります。ガンが完治しました!」という話とともに演奏されたダフト・パンクの「Get Lucky」も印象的でした。そしてこれも忘れられないナイルのプロデュース作品、デヴィッド・ボウイの「Let’s Dance」まで飛び出してもうお祭り状態です。改めてナイルの経歴の凄さを見せつけられたようでもあり、やはりこの人すごいや!と敬服です。そして場内の興奮がピークに達したシメはもちろんCHICを代表する大ヒットナンバー「Le Freak」「Good Times」の2曲でした。背景のスクリーンに映し出されたミラーボールの映像にやたらテンションが上がったのは年代でしょうか。こうして1時間のセットは終了です。先日見に行ったトレヴァー・ホーンが70年代終わりから80年代の英国音楽シーンを創り上げたことを痛感するライヴであったのと同様に、同じ時代のアメリカを中心とした音楽シーンを創り上げた音楽職人の仕事を凝縮したかのような、想像をはるかに超えた楽しさと凄さを満喫できたステージでした。
セットチェンジを経て20時ちょっと前、いよいよその時がやってきました。場内が暗転すると、雷鳴とともに稲妻の如く光るライティング。それはまるで神が降臨する前の天地創造のようです。そして荘厳なミサ曲のように流れる「Paper Gods」のイントロ。ステージ中央の高いところに姿を現したサイモンが ”Bow to the paper Gods in a world that is paper thin. The fools in town are ruling now…”と歌い始める。そして眩いライティングと共にビートが刻まれ始めると場内は総立ちで縦揺れです。目の前にふたりのサポートミュージシャンとふたりのバックシンガーとともにサイモン、ジョン、ニック、そしてロジャーが戻って来てくれた事がまだ夢を見ているようでした。
サイモンの「TOKYO!!!」の叫びと共に繰り出されたロジャーの刻むリズムでもう半狂乱になってしまったのは、レコードで聴いたりPV見たりした時にはなんてクソつまらねぇ曲なんだと思っていたけれど、初めてライヴで聴いた時に生でのかっこよさに度胆を抜かれた「The Wild Boys」だったからです。こんなに早くにやっちゃうの!?という驚きと、この血沸き肉躍る感覚にシビレまくりで、ほぼフルコーラス一緒に歌っちゃいました。
「I Don't Want Your Love」そして007映画の主題歌「A View To A Kill」と続き、サイモンのMCが「今回のツアーの最後の地にこの日本を選んで、ツアーの映像を収録することにしたんだ。Paper Gods Tourアット・武道館だ!なんで武道館を選んだかって思うだろ?それは今まで活動してきた中で、日本のファンの放つエネルギーと僕等への愛が最高だからってわかっているからなんだよ。さぁ、あとは君たち次第だよ!」などと言われちゃうと、アラフィー以上のおじさん、おばさんたちはもう三十年以上前の自分に戻って絶叫です。貴公子はいつまで経っても貴公子なんです!!
映像化するということもあってか、最近のツアーのセットリストとだいぶ変わっていて、最新作からのみならず、この数年の曲をバランスよく配しており「Come Undone」「Last Night In The City」「Only In Dreams」「Love Voodoo」と続いていきましたが、「Last Night In The City」の時、機材のトラブルで音が途絶えてしまったのですが、サイモンが「ごめん!今夜は収録があるので、もう一度やり直させて。1個の値段で2個買えるみたいな事だと思ってよね。」と頭からやり直し。なんだか本当に得した気分でした。
サイモンの妙なダンスは相変わらず健在でありながらも、以前よりもキレが増しておりかっこいいフロントマンでした。
ジョンは年歳を重ねてもやはり絵になる貴公子で、ベースを弾く姿にはもう惚れ惚れしちゃいます。
相変わらずおすましなニック。後方のキーボードからバンドサウンドの要として総括しています。
自分のアイドル、ロジャーは今もドラムセットに埋もれて黙々と上目使いでリズムを刻み続けており、やはり自分にとってはアイドルのままでした。
ここで「もう長い間の付き合いのこの人を紹介しよう!」というサイモンの紹介でステージに再び登場したのはナイル・ロジャース。まさかここ日本で同じステージに立つ姿を見られるだなんて想像すらしなかった光景です。そしてサイモンが「誰かさん、誕生日だったよね?」とナイルの元に寄り、運ばれてきたケーキと共に「さぁみんなで歌おうぜ!」と前日誕生日だったナイルを「ハッピーバースデー」でお祝いです。
ナイルとの共演ならもちろん「Notorious」と、最新作での共作ナンバー「Pressure Off」です。シャカシャカというナイルのギターのカッティングがグルーヴィーなノリを織りなし、変な表現ですが「うわぁぁぁ!本物だ!今夜はオリジナルだ!」と大興奮。「Pressure Off」でとてつもない量のピンクと白の紙吹雪が噴出してさらに場を盛り上げてくれました。
ナイルがステージを降りると同時に流れ始めたイントロは…え?…まさか!?よく漫画で興奮した登場人物の頭のてっぺんで火山が噴火するっていうのがありますが、まさにあの状態になったのは、その曲がアルバム「Rio」に収められている飛びっきり大好きなナンバー「Hold Back The Rain」だったからなのです。それもスクリーンには80年代の画像がコラージュされ映し出されたからもうたまりません!今回セットインするとは微塵も考えていなかったので鼻血モノでした。
「Paper Gods」からの「Face For Today」を挟み、サイモンが語りかけます。「次の曲は僕にとってとても意味のある曲で、言ってみれば生き残る術についての曲なんだ。日本に来て核廃絶を求める流れを強く感じでいるのだけど、これは核戦争をやめようという曲でもあり、どんどん危険が蔓延してきている今の世の中を平和で安全な世界にするのは僕達みんなの務めであり、この曲を世界の平和と安全に捧げます。」という曲紹介で始まったのは、93年にリリースされ、起死回生の大ヒットとなった名曲「Ordinary World」です。そんな彼らの想いが込められたこの美しいナンバーに応えるかのように、気付くと八角形の武道館はスマホのライトに溢れており、胸がいっぱいになるような空間となりました。
次は2004年のシングルヒット「 (Reach Up for the) Sunrise 」だったのですが、ここで再び鼻血モノだったのが、後半部にスクリーンに太陽のグラフィックから一転満月の画像が映し出されたかと思うと、これまたメチャクチャ大好きな「New Moon on Monday」のサビの部分がインサートされたのです。時間にすると数十秒間なのですが至福の時間でした。
ここからエンディングに向けて一気に上げていきます。先ずは印象的なPVが繰り返し流されたMTVから火が点いて遅まきながら82年にアメリカでもようやくブレイクするきっかけとなった「Hungry Like the Wolf」です。イントロのカウントと笑い声が始まると体力温存していたかのようなお客さんたちも、この曲にはもう明日の仕事の事など考えていられないかのように飛んで跳ねて歌って叫んでと、みんなタガが外れたかのように思い思いのスタイルで盛り上がりました。
続いてグランドマスター・フラッシュの曲を95年にカヴァーしてヒットさせた「White Lines (Don't Don't Do It)」。このリズムにはじっとしてなんかいられません。みんなでFreeze! Rock!のコール&レスポンスしながら踊り狂いました。
そして大幅にアレンジされていて最初はなんだろうと思っていたら、カメラのモータードライブ連写音でわかりました!そう「Girls on Film」です!「グラビアの美少女」です!!81年リリースの3枚目のシングルだから、もう36年も前の曲なのに今でもこの曲やられたら大興奮です。途中メンバー紹介を交えつつラストのこの曲で、もう自分は出し尽くした感がありました。アンコールは別腹ですが。
アンコールの手拍子をしながらも一旦着席して、水を飲み呼吸を整えます。ステージに戻ってきてくれたメンバーたちの背後のスクリーンには宇宙の美しい映像が映し出され、興奮を抑えてくれているかのように「Paper Gods」のラストを飾る「The Universe Alone 」がワンコーラス静かに歌われ、そこから繋がったのはこれも待ちに待っていたイントロ「Save A Prayer」です。サイモンが「歌詞を知っている人は一緒に歌って!知らなかったらスマホのライトを振って!」と語りかけたのですが、もちろんみんな歌いながらスマホを点灯です。長いキャリアでたくさんの聴きたい曲があり、今回もあとから思い返して「あの曲やってない」というものがたくさんありましたが、やはりこの曲は外せないナンバーです。
「Save A Prayer」の創り出した美しい時の余韻に酔いしれていたらスクリーンに浮かび上がったおねえさんの顔のイラスト。そうラストを飾るのは「Rio」です!途中たくさんの巨大な風船がアリーナに向けて放たれ客席を飛び回り、さらにそれに加えてたくさんの色の紙吹雪が噴出して、武道館はまさにカーニヴァル会場の様相です。そんな中での「Rio」はもうメンバーも自分も年齢なんて関係なく、いくつであろうがDURAN DURANと自分という初めて彼らのライヴを見た時と何も変わってはいない関係であり、それがとても嬉しい感覚でした。
演奏が終わりステージ前方に並んで挨拶をするメンバーに、自分も含めておじさん、おばさんたちが、それぞれお気に入りのメンバーの名前を絶叫しながら手を振っていました。これこそ「何も変わっていない」証しであり、すごい事だと思うのですよ。30年以上経てば、みんな生活から社会的な責任までいろんな物を背負って日々を過ごしながら、そんな中今夜武道館にやって来て、サイモーン!ジョーーーンっ!ロジャーァァァァ!!ニーーーック!って叫んでいるのですから。わからない人にはわかってもらえない感覚なのでしょうがね。ミーハー上等!
DURAN DURANの嬉しいところは形態が変わりつつも継続してきている事なのです。今回も「Paper Gods」という素晴らしいアルバムを発表してのツアーで、いわゆる「なつかしの人たち」ではない、現在進行形のバンドであり、新しい曲、そして想い入れたっぷり詰まった昔の曲をバランスよく配置してくれた今夜のセットに大満足でした。
最後にとてもプライヴェートな話にはなりますが、妻と自分との出会いのきっかけはDURAN DURANでした。お互いに離れた土地で、別の時間で育って来たのですがDURAN DURANのファンだという1点を通して接点ができ現在に至っています。今夜武道館のアリーナで、こうして出会うきっかけとなり、その後もファンを続けている彼らのライヴを一緒に並んで、笑顔で肩組んでスマホのライトを振り、歌い叫びながら見ているという時間の流れにとてつもない幸せな気持ちとなった事は、忘備録としてのライヴレポートだけに記しておきたいと思います。
■ SETLIST ■
= CHIC featuring NILE RODGERS =
Everybody Dance
Dance, Dance, Dance (Yowsah, Yowsah, Yowsah)
I Want Your Love
I'm Coming Out
-Upside Down
-He's the Greatest Dancer
-We Are Family
-Like A Virgin
Get Lucky
Let's Dance
Le Freak
Good Times
= DURAN DURAN =
Paper Gods
The Wild Boys
I Don't Want Your Love
A View To A Kill
Come Undone
Last Night In The City
Only In Dreams
Love Voodoo
Notorious
Pressure Off
Hold Back The Rain
Face For Today
Ordinary World
(Reach Up for the) Sunrise / New Moon on Monday
Hungry Like the Wolf
White Lines (Don't Don't Do It)
Girls on Film
-encore-
The Universe Alone / Save A Prayer
Rio
Posted by Ken2 at 23:59│Comments(0)