2016.2.8 新良幸人×サトウユウ子@南青山MANDALA
2016年02月08日/ サトウユウ子/ 新良幸人
2016.2.8 新良幸人×サトウユウ子『浄夜2016』@南青山MANDALA

常に至福の時間を与えてくれ新良幸人さん、サトウユウ子さんの浄夜ライヴ、自分自身はもう病みつきで条件許せば各地にオッカケしているので、年に一度くらいはその時間に身を委ねているのですが、東京でフルセットのライヴを行うのは実に4年ぶり。それも発表された東京2DAYSの日程の2日目で、大阪と白石そして東京と回るツアーの最終日の2月8日は旧正月の元日にあたる日です。その夜にターゲットを絞って行ってまいりました。
初めて足を踏み入れた会場なのですが、オサレでなんともオトナな雰囲気。まぁ五十半ばのオッサンがオトナの雰囲気もないですけど、能天気な自分には妙にかしこまった世界でした。ただこの雰囲気中で「浄夜」セッションの醸し出す世界に酔えると思うと快い緊張と共に期待も高まっていきました。

灯りが落ち、浄夜の帳が降りた場内に波の音が流れます。一気に心は八重山の浜へと旅立ちます。黒の装いに身を包んだおふたりがステージに現れ、波の音に乗せて幸人さんの唄三線で「島々美しゃ」でスタート。まさかこの曲で始まるとは!波の音はいつしか小々波のようなユウ子さんのピアノの音に引き継がれていていました。その波は時に力強く、時に優しく打ち寄せ、もうこれだけで波打ち際に立って足の裏の砂が少しずつ持って行かれるあの感覚がよみがえってきました。ピアノソロような繋ぎからとても自然につながった「あがろうざ」、このゆったりした子守唄には眠るのではなく日々のめまぐるしい生活の中で昂ぶって張り詰めている心をそっと解きほぐしてくれるようなチカラがあります。その後も「あの夏の日」「赤ゆらの花」をじっくりと聴かせてくれ、最初CD聴いた時にはなぜ三線でなくピアノでと思っていて、その後このアレンジの魅力にじわじわと取り憑かれていった「安里屋節」はもうキュンとなりました。
とは言えやはり幸人さんの唄三線は唯一無二です。第一部の最後は待っていましたの「幸人ひとりでできるでしょ」コーナー。期待通り演ってくれました。自分の中で最も好きな八重山民謡であり、この正月を祝う曲を旧正月元日に幸人さんの唄三線で聴けたらどんなに幸せなことだろうと思っていた「鷲ぬ鳥節」です。なにせ今年の旧正月元日、生でこの曲を聴かれるのはここだけなんですもんね。途中に入った「よーっ!ほっ!」というお囃子?合いの手?がめちゃめちゃカッコよかった!雄々しくも清々しいこの曲から続いて「鶴亀節」「固み節」「めでたい節」と一気に華やいだ空気へとなりました。これで一部は終わりかなと思ったら、なんとアカペラで「とぅばらーま」をワンコーラス披露。これがまた身体の隅々まで染み渡るような響きでまっすぐに入ってきます。

第二部は「鷲ぬ鳥節」「とぅばらーま」と並ぶ我が八重山三大名曲の残り一曲「月ぬ美しゃ」で始まり、一気にコンプの夜です。「ファムレウタ」へと流れでもおふたりと本当に気持ちよさそうに演奏されていて、にこやかに幸人さんを見守るユウ子さんの奏でるピアノの音符の上で幸人さんが自由に舞っているような雰囲気です。今宵のライヴ、後半は特になんですが、幸人さんの指か爪に何かあったのか、機材の問題なのか、はたまた単にユウ子さんのピアノで唄う事が気持ちよかったのか理由は定かではありませんが、幸人さんは三線を置いて唄者としてステージを進めていかれました。そのためか唄者、ヴォーカリストとしての新良幸人の素晴らしさを改めて痛感させられました。最初に幸人さんに心掴まれたのはその声だった自分には、うん今宵はこれでいい、このままでいいと思える流れであります。もちろんそれは繊細で力強いユウ子さんのピアノ音があってこそです。それもあってか「西武門節」から「浜千鳥」と続く2曲は妙に色っぽい、いや色っぽいというよりは艶やかと言うべきかもしれません。いくつも年齢が違わない同じオッサンが唄っているのに、その艶っぽさといったら…。何度となく耳にしている曲なのですが、こんな感覚で聴いたのは初めてかもしれません。
ここで驚きが待っていました。昨年岡山へ見に行った浄夜ライヴでも演奏されたParsha cluBのナンバー「夏ぬ恋」が、ユウ子さんアレンジによって三拍子に生まれ変わり、オリジナル以上に切ない恋唄となって唄われたのです。先ほど感じていた艶っぽさが、この曲ではもぅ!一体どこからこの雰囲気を醸し出す事ができるんだろ。やはり唯一無二のヴォーカリストです。
終盤はこの2曲は外せないナンバー「浄夜」と「明空(AKISURA)~ハジマリノウタ」。元々広いステージなのですが、さらに奥行と天井の空間が広がったような感覚になるほどのチカラを持った曲です。そしてシメは「満天の星」。ピアノのみで唄われる浄夜バージョンは、ピアノの一音一音がさんざめく星のようで、強弱で光の強さが変わり、流れるような旋律は天の川のように響きます。それだけに光源が近すぎたのか、ミラーボールによる演出の光がぼた雪ように見えてしまい残念でありました。音だけで何にも勝る情景を脳内に描くことのできる能力を人間は持っているのです。かえって演出によって消されてしまうなぁ。この時は目を閉じて「満天の星」描いていました。
アンコールに応えてくれたおふたりは、まずSAKISHIMA meetingでもおなじみのオールディーズ「Tennessee Waltz」と、今井美樹さんの「ひとひら」のカヴァーで、どちらも半分は島ことばで。演奏が終わり手を取り合って挨拶をする幸人さんとユウ子さん。入場する際に自分たちより先に入った方たちが遠慮なさって取らなかった最前列真ん中のテーブルを、厚かましくも即ゲットしたのですが、挨拶終わると幸人さんはまっすぐに横の妻の前にやってきてハグ!周りのご婦人方のウワァ〜という声。そしてなぜか次は俺の方へ。やだ、オッサン同士のハグ?と思ったら何故か似たような情況のおデコくっつけてグリグリ。こちらは場内大爆笑!完全にオモチャになっているな、俺…。ま、オイシイですがね。

「今夜は何杯飲んでも酔わない気がする。」という幸人さん、「今日はお酒がおいしい!」というユウ子さん。そんなこの時間を楽しんでいらっしゃるおふたりの紡ぎ出す音楽は、そのままこちらまで伝わってきて和やかな気分でいっぱいになりました。始まる前に感じたオサレさに圧倒されての緊張感もどこへやら、曲間のトークもドッカンドッカン大爆笑の連続で、これ以上求めるものはないというほどの唄と演奏と共に極上の時間を過ごすことができました。これほど和やかなで楽しいと思った浄夜ライヴは初めての気がします。今までは心地よい緊張感とでも言いましょうか、一音たりとも聞き逃すまいという、それこそ椅子の軋む音さえ邪魔に感じるような感覚でした。今夜はもっと気持ちにゆとりを持って、音の海原や星空に漂っていたかのような時間でした。こんな素敵な時間を、時々共有させて欲しいなぁ。そして、そろそろ新しいアルバムという形で、多くの曲新たな魅力を引き出してもらいたいなと思った夜でした。

常に至福の時間を与えてくれ新良幸人さん、サトウユウ子さんの浄夜ライヴ、自分自身はもう病みつきで条件許せば各地にオッカケしているので、年に一度くらいはその時間に身を委ねているのですが、東京でフルセットのライヴを行うのは実に4年ぶり。それも発表された東京2DAYSの日程の2日目で、大阪と白石そして東京と回るツアーの最終日の2月8日は旧正月の元日にあたる日です。その夜にターゲットを絞って行ってまいりました。
初めて足を踏み入れた会場なのですが、オサレでなんともオトナな雰囲気。まぁ五十半ばのオッサンがオトナの雰囲気もないですけど、能天気な自分には妙にかしこまった世界でした。ただこの雰囲気中で「浄夜」セッションの醸し出す世界に酔えると思うと快い緊張と共に期待も高まっていきました。

灯りが落ち、浄夜の帳が降りた場内に波の音が流れます。一気に心は八重山の浜へと旅立ちます。黒の装いに身を包んだおふたりがステージに現れ、波の音に乗せて幸人さんの唄三線で「島々美しゃ」でスタート。まさかこの曲で始まるとは!波の音はいつしか小々波のようなユウ子さんのピアノの音に引き継がれていていました。その波は時に力強く、時に優しく打ち寄せ、もうこれだけで波打ち際に立って足の裏の砂が少しずつ持って行かれるあの感覚がよみがえってきました。ピアノソロような繋ぎからとても自然につながった「あがろうざ」、このゆったりした子守唄には眠るのではなく日々のめまぐるしい生活の中で昂ぶって張り詰めている心をそっと解きほぐしてくれるようなチカラがあります。その後も「あの夏の日」「赤ゆらの花」をじっくりと聴かせてくれ、最初CD聴いた時にはなぜ三線でなくピアノでと思っていて、その後このアレンジの魅力にじわじわと取り憑かれていった「安里屋節」はもうキュンとなりました。
とは言えやはり幸人さんの唄三線は唯一無二です。第一部の最後は待っていましたの「幸人ひとりでできるでしょ」コーナー。期待通り演ってくれました。自分の中で最も好きな八重山民謡であり、この正月を祝う曲を旧正月元日に幸人さんの唄三線で聴けたらどんなに幸せなことだろうと思っていた「鷲ぬ鳥節」です。なにせ今年の旧正月元日、生でこの曲を聴かれるのはここだけなんですもんね。途中に入った「よーっ!ほっ!」というお囃子?合いの手?がめちゃめちゃカッコよかった!雄々しくも清々しいこの曲から続いて「鶴亀節」「固み節」「めでたい節」と一気に華やいだ空気へとなりました。これで一部は終わりかなと思ったら、なんとアカペラで「とぅばらーま」をワンコーラス披露。これがまた身体の隅々まで染み渡るような響きでまっすぐに入ってきます。

第二部は「鷲ぬ鳥節」「とぅばらーま」と並ぶ我が八重山三大名曲の残り一曲「月ぬ美しゃ」で始まり、一気にコンプの夜です。「ファムレウタ」へと流れでもおふたりと本当に気持ちよさそうに演奏されていて、にこやかに幸人さんを見守るユウ子さんの奏でるピアノの音符の上で幸人さんが自由に舞っているような雰囲気です。今宵のライヴ、後半は特になんですが、幸人さんの指か爪に何かあったのか、機材の問題なのか、はたまた単にユウ子さんのピアノで唄う事が気持ちよかったのか理由は定かではありませんが、幸人さんは三線を置いて唄者としてステージを進めていかれました。そのためか唄者、ヴォーカリストとしての新良幸人の素晴らしさを改めて痛感させられました。最初に幸人さんに心掴まれたのはその声だった自分には、うん今宵はこれでいい、このままでいいと思える流れであります。もちろんそれは繊細で力強いユウ子さんのピアノ音があってこそです。それもあってか「西武門節」から「浜千鳥」と続く2曲は妙に色っぽい、いや色っぽいというよりは艶やかと言うべきかもしれません。いくつも年齢が違わない同じオッサンが唄っているのに、その艶っぽさといったら…。何度となく耳にしている曲なのですが、こんな感覚で聴いたのは初めてかもしれません。
ここで驚きが待っていました。昨年岡山へ見に行った浄夜ライヴでも演奏されたParsha cluBのナンバー「夏ぬ恋」が、ユウ子さんアレンジによって三拍子に生まれ変わり、オリジナル以上に切ない恋唄となって唄われたのです。先ほど感じていた艶っぽさが、この曲ではもぅ!一体どこからこの雰囲気を醸し出す事ができるんだろ。やはり唯一無二のヴォーカリストです。
終盤はこの2曲は外せないナンバー「浄夜」と「明空(AKISURA)~ハジマリノウタ」。元々広いステージなのですが、さらに奥行と天井の空間が広がったような感覚になるほどのチカラを持った曲です。そしてシメは「満天の星」。ピアノのみで唄われる浄夜バージョンは、ピアノの一音一音がさんざめく星のようで、強弱で光の強さが変わり、流れるような旋律は天の川のように響きます。それだけに光源が近すぎたのか、ミラーボールによる演出の光がぼた雪ように見えてしまい残念でありました。音だけで何にも勝る情景を脳内に描くことのできる能力を人間は持っているのです。かえって演出によって消されてしまうなぁ。この時は目を閉じて「満天の星」描いていました。
アンコールに応えてくれたおふたりは、まずSAKISHIMA meetingでもおなじみのオールディーズ「Tennessee Waltz」と、今井美樹さんの「ひとひら」のカヴァーで、どちらも半分は島ことばで。演奏が終わり手を取り合って挨拶をする幸人さんとユウ子さん。入場する際に自分たちより先に入った方たちが遠慮なさって取らなかった最前列真ん中のテーブルを、厚かましくも即ゲットしたのですが、挨拶終わると幸人さんはまっすぐに横の妻の前にやってきてハグ!周りのご婦人方のウワァ〜という声。そしてなぜか次は俺の方へ。やだ、オッサン同士のハグ?と思ったら何故か似たような情況のおデコくっつけてグリグリ。こちらは場内大爆笑!完全にオモチャになっているな、俺…。ま、オイシイですがね。

「今夜は何杯飲んでも酔わない気がする。」という幸人さん、「今日はお酒がおいしい!」というユウ子さん。そんなこの時間を楽しんでいらっしゃるおふたりの紡ぎ出す音楽は、そのままこちらまで伝わってきて和やかな気分でいっぱいになりました。始まる前に感じたオサレさに圧倒されての緊張感もどこへやら、曲間のトークもドッカンドッカン大爆笑の連続で、これ以上求めるものはないというほどの唄と演奏と共に極上の時間を過ごすことができました。これほど和やかなで楽しいと思った浄夜ライヴは初めての気がします。今までは心地よい緊張感とでも言いましょうか、一音たりとも聞き逃すまいという、それこそ椅子の軋む音さえ邪魔に感じるような感覚でした。今夜はもっと気持ちにゆとりを持って、音の海原や星空に漂っていたかのような時間でした。こんな素敵な時間を、時々共有させて欲しいなぁ。そして、そろそろ新しいアルバムという形で、多くの曲新たな魅力を引き出してもらいたいなと思った夜でした。
Posted by Ken2 at 23:59│Comments(0)