2018.5.27 けい×けん(迎里計・野原健)@早稲田CanColor cafe

2018年05月27日/ 迎里計/ その他(沖縄)

2018.5.27 けい×けん(迎里計・野原健)@早稲田CanColor cafe

2018.5.27 けい×けん(迎里計・野原健)@早稲田CanColor cafe

楽しかった前夜の「竹富島地唄いライブ」の余韻が残る中、今宵は昨夜のメンバーの中の野原健さん、迎里計さんによるユニット「ケイ×ケン」のライヴです。健さんは竹富島の方、計さんは石垣島白保のご出身ですが、おふたりは義理のご兄弟という間柄です。そこで今回ふたりでライヴをやってみようと言う事になったそうで、今宵が初のライヴとなりました。

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オープニング・アクトとして昨夜も今夜も音響スタッフとして頑張っている川満太一朗さんが三線を手に登場。宮古島出身の青年で、自己紹介のあとまずは無伴奏で「なりやまあやぐ」を、そして唄三線で「酒田川」と続きます。宮古民謡はあまり聴く機会が多くないのでとても新鮮で、哀愁を帯びたような曲調にぐいぐいと引き込まれていきました。この2曲で終わってしまいましたが、もっとじっくりと聴いてみたかったなぁ。

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短い準備のあといよいよ三線の健さん、一五一会の計さんによるステージです。一体どんな感じのライヴになるのかぁと思っていたらオープニングはおなじみの民謡で、計さんの出身地白保集落の"国歌"と言われている「白保節」からスタートです。八重山密度の高い客席だけにお囃子も自然発生的に入ります。健さんの力強い三線の音に計さんの奏でる繊細な一五一会の音色が絡んで、なんとも素敵な響きです。三線の音楽聴き始めたころには洋楽器とのアンサンブルは毛嫌いしていたのですが、今となっては何が嫌だったのだろうと思うほどです。その素敵な響きを引き継いだのはこれまた八重山を代表する教訓歌「デンサー節」だったのですが、ふたりの演奏なのにすごいなぁ笛の音色を感じます。聴けば聴くほどリアルでテープ流しているのかと思ったら、客席にいらっしゃる関係者の方が笛を吹かれていたのでした。まるで出会うべくして出会ったようなこの3つの音色に唄が乗り、心底染みる「デンサー節」となりました。

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おふたりが自己紹介と、こうして一緒のステージに立つまでの流れなどをお話しされた後は計さんのオリジナルで、成人式の旅立ちの時を明るいメロディーに乗せて歌った「二十路の鳥」です。この曲も含めた計さんの作品や、以前参加した「白保フェスティバル」で感じた事なのですが、石垣島の方々の体内DNAには何故か「さよなら港」や「憧れのハワイ航路」の頃の昭和歌謡ずきが色濃く刷り込まれている気がしてなりません。

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続いては健さんチョイスで昨夜も歌われた喜納昌吉さんの「東崎」です。健さんの声にもすごくマッチしていて、それ以前にきっとこ曲が大好きなのだろうなぁと感じるほど丁寧に歌われていました。

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「今日は義理の兄との共演で妙な緊張がありまして」と語っていた計さん。それをどっしりと受け止め進めていく健さん。なんとも微笑ましくも素敵なご兄弟です。計さんのオリジナルで結婚式などのお祝いを歌った「スヨウニ節」に続き、これまた美しい八重山民謡「あがろーざ」だったのですが、計さんが「兄貴にこの曲はソロでと提案したらあっさり却下されたのですが、作戦を練って僕が音を減らして三線をフューチャーさせてみました。」と語っていた通り三線の音色が響いたのですが、優しい一五一会の音が子守唄らしいたおやかさを感じさせてくれたのもポイントでした。

2018.5.27 けい×けん(迎里計・野原健)@早稲田CanColor cafe

それまで何度かイヴェントライヴで聴く機会があって計さんの名前はわからないけれど"干支の歌の人"というイメージが刷り込まれた曲「生まれ年音頭」へと進むうちに、先ほどのDNAの話じゃないですが石垣島ではお祝い事はものすごく大切に祝われているのだなぁ、人と人との結びつきが強いのだろうなぁと感じさせてくれる計さんの曲たちです。ソロのライヴでは何度かお聴きしているのですが、こうして健さんの三線が入るとピタッとハマります。一部のラストは山之口貘さんの詩に高田渡さんがメロディーをつけた曲で、自分が小学生だった頃に近所の大学生のお兄さんの部屋に宿題教わりに行ったりするとよく流れていた「生活の柄」が歌われてびっくりです。この選曲に自分の記憶の奥の方に腕まくりした手を突っ込んで引っ張り出してくるような感じでした。以前、計さんがライヴで高田さんの「値上げ」カヴァーされていたので、これも計さん選曲かな。

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休憩を挟んでの第二部はじめはそれぞれソロで何かをやるコーナーらしいのですが、まず登場した健さんはちょっと反則(?)して「今日は会場に素敵なミュージシャンの方がたくさん来ているのですよ。その中の1人と一緒に演りたいと思います。」と紹介されて呼ばれたのは八重山民謡の歌手の方で大迫吟子さんとおっしゃるそうです。健さんの三線で始まったのはドラマ「ちゅらさん」でイントロだけは有名になった「小浜節 」です。八重山民謡の女性歌手の方の特徴である高く伸びる声が響き、健さんとの掛け合いも良い感じです。それと客席に八重山の方がたくさんいらして、感心したのですが1コーラス終わると絶妙なタイミングで「いよっ!」みたいな掛け声と共に拍手が送られ、それが妙にカッコ良かったです。

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次は計さんのコーナーで選んでくれた曲はオリジナルで、昨年初めて聴いて"一耳惚れ"した曲「あざみの根っこ」です。もう曲紹介でタイトル聞いただけで涙腺緩んできそうになったほどです。歌詞の一言一言をしっかりと噛み締めて聴いたこの曲には、選んでくれた計さんにもう"ミーファイユ"の言葉しか浮かびません。

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続いてはTHE SAKISHIMA meetingのナンバーで「島風」、そして計さんのナンバー「ボッタリナオシ」だったのですが、この曲は途中でタイトルの歌詞のコール&レスポンスがお約束なのですが、客席にいたお子さんがそう聴こえたのか、間違えて覚えてしまったのか大きな声で"ポッチャリ!ポッチャリ!"歌い出し、途中から計さんもポッチャリに歌詞を変えちゃうという茶目っ気たっぷりな流れに。ボッタリナオシするよりも、きっとポッチャリ直す方がはるかに大変だと思いますけれどね。

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「まり!歌うか!」と健さんに突然呼ばれたのは竹富島の歌姫、上勢頭まりさんです。歌ってくれたのはもちろん下地イサムさんのナンバーで「あの夏の日」です。昨夜歌う前にあれだけ緊張されていた宮古方言の曲で、今夜も「歌詞を間違えてしまったらごめんなさい」と歌われる前におっしゃられていましたが、大丈夫です。なんせこの曲の歌詞、唯一わかるのは"学校"という一言なのですから。昨夜も感銘を受けたのですが、今夜の会場は天井が高く音の響き方が気持ち良い場所なので、まりさんの伸びやかな高い声が三線と一五一会の音色と共に一層空間に染み渡るように広がり、青空の下サトウキビ畑の真ん中で風に吹かれながら聞いているかのようでした。

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ここから2曲はBorn ti Caftaのナンバーの明るく楽しい「宴」と「音遊び」です。考えたらぼーんちカフタは計さんと実兄の中さんとの兄弟ユニットで、けい×けんは義兄弟ユニットです。よほどの弟キャラなのか、これだけ"兄"とユニットを組んでいるミュージシャンはそういないと思います。健さんとの息もぴったりでこの流れでグングンと昇っていきました。そしてラストはみんな大好きな「うたのうた」です。三線が入ったこの曲もいいなぁ。最後はもちろん♪ラーラーラー…の大合唱で美しく締めくくられました。

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アンコールはTHE SAKISHIMA meetingの「松原ユンタ」です。健さん指導のもと"うやき よーゆばなうれ"のコール&レスポンスのトレーニングからのスタートです。「うたのうた」のコーラスで声出しているのでお囃子もバッチリです。健さんの三線もブルースギターのように響き渡りかっこよかったです。そしてもう一曲、この素敵な夜を締めくくるのは計さんのアルバムの中でも大好きな曲で、ライヴでも外せない「しずく」です。この曲も涙腺ヤバくなる曲で、最後は♪ラーラーラー…のコーラスの大合唱でとてもあたたかい気持ちにさせてくれる曲です。そして今夜は三線も入りその感じが増幅したように感じました。

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けい×けんの初ステージは、さながらその音で別の場所に連れて行ってくれたかのような時間でした。それでもライヴが終わり外に出てみてもそこには白砂の道はなく、アスファルト舗装された片側三車線の道路が走っていて、慌ててまだ島の時の流れの余韻が残る店内に戻ったのです。ライヴ後半に「僕は本当はみなさんに楽しんでいただく立場なのですが、ごめんなさい、今日は僕が一番楽しいです!」と計さんが語っていましたが、それはきっと健さんも同じ事だろうと思いますし、あんなに楽しそうにステージを進めていくおふたりを見ているこちらは実はそれ以上に楽しませてもらっているのですよ。なかなか機会を作るのは難しいかもしれませんが、またこの義兄弟ユニットの音に浸るのを楽しみにしています。


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Posted by Ken2 at 23:59│Comments(0)
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