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2019.12.19 KISS @ ドルフィンズアリーナ(愛知県体育館)

2019年12月19日

2019.12.19 KISS "End of the Road World Tour" @ ドルフィンズアリーナ(愛知県体育館)



僕が中学生だった70年代中盤には、とても昭和な言い回しですが「洋楽御三家」と呼ばれた三大人気バンドが君臨していました。エアロスミス、クィーン、そしてKISSです。3つ歳上の兄の世代はツェッペリンやパープルという王道ロックバンドの世代なのですが、僕はロック体験の入り口がこの御三家でした。75年のクィーン初来日の際13歳でコンサート・デビューを果たし、翌年の再来日ももちろん行き、77年には高校受験の最中にエアロスミスの初来日にも駆けつけて、その2ヶ月あとの高校入学式直前に遂にKISS初来日公演が実現したのです。そこから数えても42年です。その間ずっと愛聴していたかと問われればハイとは言えませんが、今年初めからスタートした彼らのツアーは「エンド・オブ・ザ・ワールド・ツアー」と名付けられた、2021年夏まで続く最後のツアーということなのです。........あ、そうですか。何度目のサヨナラツアー?それに「ツアーは最後と言ったけれど、コンサートをやらないとは言っていないぞ!」などというオチが待っているのでしょうね。それでも良いのです。KISSですもの。くされ縁と言いますか、もう何でもありで商魂たくましい彼らの活動を百も承知の上で手のひらの上で踊らされる事を楽しんでしまえば、細かいことや辻褄合わなくても構わないのです。思い出いっぱい詰まった遊園地にウルトラマン・ショーを見に行くようなものなのです。



自分の中でヘンなこだわりがあって、なぜか彼らのライヴは武道館でなくてはイヤなのです。いままでも東京ドームで行われた際には敢えて行かなかった程です。理由は自分でも定かではないのですが、僕の遊園地は巨大過ぎてはいけないのです。今回も東京はドーム公演で最初は断念したのですが、(もしかしたら)最後だからなぁと考え抜いて、東京より後からチケットが発売され、アリーナ・クラスの会場であり、なおかつ日本最終公演である名古屋に白羽の矢を立てたというわけです。



会場に入ると同年代かそれ以上の年齢層の人たちが抑え切れないワクワクした表情で、思い思いにステージをバックにみんな舌を出したり、デヴィルサインでポーズ決めての記念撮影大会でした。開演時間19時の数分前にツェッペリンの「ロックン・ロール」が流れ始めると、まだ客電が落ちるまえなのに総立ちで、このBGMさえ大合唱です。



お客さんも一緒に叫ぶ“Alright Nagoya! You wanted the best, you got the best. The hottest band in the world. KISS!!”のアナウンスとともに幕は切って落とされました。オープニングは「Detroit Rock City (デトロイト・ロック・シティ)」です。てっきり空中からミニステージに乗って降りて来ると思っていたら普通にステージに立っていて、ちょっと拍子抜けしました。そんな思いは一瞬で、もうこの史上最強のオープニング・チューンに狂喜乱舞です。頭からの大合唱に留まらず、途中のギターソロのメロディまで“ララララー…”と大合唱しちゃうのですから、ファンはみんな年季入っています。最高です!



火柱上がりまくりの2曲目はこれまたキラー・チューンの「Shout It Out Loud (狂気の叫び)」と続くからたまりません。“シャーリッ、シャーリッ、シャリアッラー!”とカタカナ英語で大合唱です。



コンバンワ、ナゴーヤ!今日はこのみなさんの美しい国での最後の夜だ。みんなワイルドになって最高の夜にしようぜ!というポールのあいさつに続いてはファースト・アルバムからの「Deuce (ジュース)」をやってくれちゃうのですから、これまたフルコーラスのシンガロングです。



ここからは僕にとっては最近の曲、と言っても80-90年代の作品なのですが「Say Yeah (セイ・イェー)」「I Love It Loud (勇士の叫び)」「Heaven's on Fire (へヴンズ・オン・ファイヤー)」と進みます。70年代の曲に比べ自分には思い入れの多くない時代の曲ですが、それでも大合唱です。そもそもKISSの曲って例え知らない曲でも2コーラス目にになる頃には一緒に歌えてしまうのです。



「War Machine (ウォー・マシーン)」の最後は見せ場のひとつ、ジーンの火吹きシーンです。77年の武道館で2階席の後ろから4列目から見た、当時は「Firehouse」のラストに披露されたこの火吹きに大興奮したものですが、今回は幸運にもステージから4列目のど真ん中という目の前でこのシーンを体験でき震えるほど興奮するとともに、この40年を超える時の流れに感慨深いものを感じました。



盛り上がった「Lick It Up (地獄の回想)」に続いて、76年に発表された5枚目のアルバム「地獄のロックファィアー」からの僕の大好きなナンバー「Calling Dr. Love (悪魔のドクター・ラブ)」です。ジーンがヴォーカルの曲なのですが、僕の中で今でもジーンはアイドルであるのです。お茶目でありながら楽しませる事に徹底したプロ意識は本当にすごい。そんなジーンに指差されると、少女のようにクラクラきて手を振ってしまいます。よくよく考えたら70歳のジーンに指差されて、興奮して手を振る58歳というオッサン同士の異様な光景なのですが、アイドルなんだから仕方ないのです。この曲のシメにジーンが言った「何故だかわかるか?それは俺がお前のドクター・ラヴだからさ!」というセリフが全てを物語っています。ジーン・シモンズという悪魔は僕にとって永遠のドクター・ラヴなのです。



続いてはこれまた45年前のファースト・アルバムから「100,000 Years (10万年の彼方)」で、エリックのドラムソロが入ります。そう言えば最近のコンサートではドラムソロって減ってきたなぁ。最後はドラムセットごとリフトアップされての大熱演です。さらに「77年にここ名古屋でも演った曲をやるぜ!」と同じくファーストからの「Cold Gin (コールド・ジン)」へと続いたので、オールドファンの大合唱は留まることを知りません。



そしてKISSのコンサートで僕のハイライトとも言うべき時がやって来ました。薄暗い照明に雷鳴が響き、スクリーンには稲妻が光る中、おもむろに中央に登場したジーンの口から流れる血。子供騙しのイロモノ的演出なのですが、何度見ても興奮するのです。そのままジーンを乗せた円盤ステージは高くせり上がってゆき「God of Thunder (雷神)」が世界を支配してゆきます。この重厚なベース・ラインは僕にとってヴァン・ヘイレンの「悪魔のハイウェイ」と並ぶベース・ライン神曲です。期せずして悪魔繋がりですが。高いところに仁王立ちして歌う雷神様を見上げながらの大合唱です。



コンサートも終盤に差しかかり、鮮やかなヴィジュアル演出とともに演奏された「Psycho Circus (サイコ・サーカス)」の曲紹介では「みなさん最高です!」の最高とサイコをかけるというワザまで織り込んでいました。オールドファンには嬉しい「Let Me Go, Rock'N' Roll (レット・ミー・ゴー・ロックン・ロール)」ではトミーのギターソロも。このギタリストトミーとドラマーのエリックに関してはオリジナル・メンバーではないのですが、彼らのメイクのおかげで全く違和感が無く、むしろエースとピーターではないということを忘れる時があるほどです。



「ガキの頃に大ヒットしていて、何を歌っているのかさっぱりわからなかったけど大好きな曲があるんだ。」と言うポールの話しとともにギターの弾き語りで一節歌われたのは、坂本九さんが全米チャートNo.1を記録した「上を向いて歩こう」です。場内ももちろん大合唱となり、とても和やかな雰囲気です。



「みんな俺の名前を叫んでくれ!俺がそっちに行くから!」という声とともに、もうひとつのハイライトシーン、「Love Gun (ラヴ・ガン)」のイントロにのせてポールの宙乗りタイムです。アリーナの客席の上を、最後方に設置されたサブステージまで飛んでいきます。この曲の銃声のようなビートは本当にカッコいい!!



ポールはサブステージにいたままで「次の曲は簡単だからみんな一緒に歌ってくれよ!」とまずは練習タイム。練習しなくてもみんな歌えますって。なんせ「I Was Made for Lovin' You (ラヴィン・ユー・ベイビー)」ですもの。この曲が出た当時はなんでKISSが時代の流行りに乗っかってディスコ・ナンバー作ってんだよと憤慨していたものですが、今となってはそんな事お構いなしで、ライヴにはなくてはならないナンバーです。だって楽しいんですもの。もうKISSはエンタティナーであるのですから、楽しんでナンボなのです。細い事にガタガタ言っていたら、それは楽しみ方を知らないって事なのです。



メインステージに戻ったポールの叙情的なギターが奏でるメロディが地獄の狂宴の終わりの時が来た事を伝えます。これで終わることをファンならば覚悟する「Black Diamond (ブラック・ダイアモンド)」です。そのため我々も今まで以上に声を限りに大合唱です。最後はエリックのドラムセットも猫の紋章の幕をつけてせり上がってゆき、火柱と爆音とともに華やかな終演です。



もちろんこれで収まるはずはありません。We Want KISS!のコールに応えてのアンコールです。先ずはエリックがピアノの弾き語りで「Beth (ベス)」を披露。至極のバラードです。東京、大阪のドーム公演ではX JAPANのYOSHIKIさんがゲストで登場しアンコールで共演したとの話を聞いていたので今日もかなと思っていましたが現れずです。彼には特に何の感情もないものの、日本最終公演で、多分僕にとって最後のKISSのコンサートのラストにゲストは必要ありません。むしろ彼らだけで演ってくれて良かったです。



この曲のあと、メンバー4人がステージ前方でご挨拶。幕を掲げてくれたり、「日本のみんなの事は絶対に忘れないから!」とファン泣かせのメッセージも。まだアンコールは続くのですが、大円団終了の後は姿をサッと消すのが我らがKISSなのです。グチグチと引っ張り別れを惜しむのではなく、パッと有終の美を飾り、夢の時間に終止符を打つのです。



アンコール2曲目は名作アルバム「地獄の軍団」から「Do You Love Me (ドゥー・ユー・ラヴ・ミー)」です。日本公演以前の海外でのセットリストのは入っていなかったのでまたまた狂喜乱舞です。ロゴの入ったバルーンも場内を飛び交いさらに盛り上げます。



そのまま流れるように始まったイントロは、KISSを代表するナンバーであり、70年代を飾るロック・チューンと称しても過言ではないはずの「Rock and Roll All Nite (ロックンロール・オールナイト)」です。のっけから爆音とともにメタリックテープが撃ち放たれ、大量の紅白の紙吹雪とスモークでステージのメンバーの姿がほとんど見えない状態です。そんな中無茶苦茶陽気で明るいこのナンバーの”I wanna Rock and Roll all nite! And party everyday!”という能天気なサビを一緒に歌っていたら、突然これで最後なんだという感傷がふつふつと湧いてきて、最後は涙ながらに叫ぶように歌っていました。




そのまま暗転したままのステージからメンバーは去り、明るくなった場内では椅子の上に紙吹雪が文字通り降り積もっており、祭りの終焉を否が応にも認めざるを得ません。後ろの席の同年代のご婦人が「終わっちゃった... 終わっちゃった...」と泣き出したのですが、横の旦那さんらしき人は友達と興奮したまま話し込んで放置していたので、思わず抱きしめてしまい、一緒にもらい泣きしちゃいました。楽しかった40年以上の思い出に感謝だよねと、見ず知らずのご婦人と慰め合い笑顔で別れ会場を後にしました。



最後こそ自分でも驚くほどセンチメンタルな気分になってしまいましたが、まー楽しかった!思いっきりKISS遊園地で遊ばせてもらいました。これだけ楽しませることに徹底したバンドは先ず他に類を見ないし、それができるのもストイックなまでのプロ意識と技術があっての事なのは言うまでもありません。僕の人生の中で、青春時代から今日に至るまで楽しませ続けてくれたKISSには感謝しかないのです。彼らのコンサートに行けば僕は十代の感覚に戻る事ができたのです。それはまるで回春薬のような効き目があるのです。そんなバンドが僕の人生に君臨していてくれて本当に良かった。さぁ、余韻が収まったらそろそろ青春時代からの成長を始めよう。でもまだまだ枯れやしねぇぞ!

- SETLIST -
Detroit Rock City
Shout It Out Loud
Deuce
Say Yeah
I Love It Loud
Heaven's on Fire
War Machine
Lick It Up
Calling Dr. Love
100,000 Years
Cold Gin
God of Thunder
Psycho Circus
Let Me Go, Rock'N' Roll
上を向いて歩こう
Love Gun
I Was Made for Lovin' You
Black Diamond
-encore-
Beth
Do You Love Me
Rock and Roll All Nite
  

Posted by Ken2 at 23:59Comments(0)

2019.12.4 U2 @ さいたまスーパーアリーナ

2019年12月04日 / 洋楽

2019.12.4 U2 "The Joshua Tree Tour 2019" @さいたまスーパーアリーナ



最近はコンサートから帰宅すると疲れて倒れ込むように寝落ちるのですが、今夜はいつまでたっても眠れません。感情の昂ぶりが頭を冴えさせてしまっています。早く寝なくてはと思いつつも、いまの自分の年齢でこのような夜を迎えることができ嬉しくもある不思議な気分です。



80年代はじめに出会ったアイルランドの若僧バンドに心奪われ、83年初冬の初来日公演で「一生付いていきます!」と誓いを立てた U2。海外での桁外れの存在を考えたらもう来日は望めないと思っていたのですが、なんと13年ぶりにやって来てくれたのです。



それも2年前に飛んで行きたかった北南米、ヨーロッパで敢行された、87年に発表された彼らの代表作とも言うべきアルバム「ヨシュア・トゥリー」全曲再現を含むツアーで、オセアニアとアジアの計7ヵ国をまわってくれるもので、僕にとっては願ったり叶ったりの来日公演となりました。最初このツアーの噂を目にした時は本当に頬をつねって確かめたほどです。



当日、この日の限定Tシャツを買いたくて物販開始の13時の1時間半前くらいに到着し並んだのですが、周りはほぼ外国からのファンで、僕と同じくらいの年齢層の人たちが文字通り世界中から集結していて、 U2の存在感の凄さを改めて痛感しました。



18時開場で荷物だけでなくボディーチェックまで受けて入場です。今回の日本公演もアリーナはスタンディングで、開演前から立ちっぱなしは辛いのでスタンドのSS席に。この¥38,800の価格設定が物議を醸しましたが、好きな者にとっては大きなお世話でした。特典付とありましたが、せいぜいテロテロなトートバッグくらいだろうと思っていましたが、非売品のピックセットをもらえて嬉しかったぁ。



場内にThe Waterboysの"The Whole of the Moon"が流れ出し巻き起こる歓声。会場を埋め尽くしたファンはこの曲が時の訪れを告げるファンファーレである事は充分承知です。客電も落ち痺れを切らす頃アリーナ席から湧き起こる歓声に目を凝らして見ると、ラリーがひとりでメインステージから続く花道をアリーナ中央にある樹の形をしたサブステージに向かって悠々と歩いて来ます。そこにセッティングされたドラムセットにスタンバイし、叩き出したイントロは"Sunday Bloody Sunday"です!僕にとって最も好きな U2ナンバーであると共に、世の中でこれほど血湧き肉躍る曲が他にはないと思っている名曲で、最初の数ビートでもう昇天です。それに乗って印象的なギターを奏でながらジ・エッジが花道を進み、イントロのハミングを歌いながらボノが続きます。さらに力強いベース音でリズムを刻みながらアダムも登場し4人がサブステージに揃い踏みです。なんてカッコいいオープニングなのでしょう!もちろん頭から大合唱です。この曲は72年に北アイルランドでデモ中の非武装市民が対立する英国軍の発砲を受け14人が生命を落とした「血の日曜日事件」を歌ったもので、僕はこの曲を聴くまでそんな事があった事さえ知らずに過ごしており、この曲をきっかけに歌詞の持つ意味や背景を調べて聴こうと努めるようになった大きな意味を持つ曲です。単に攻撃的に主張を歌うのではなく「いつまでこの曲を歌わなきゃいけないんだ?」という歌詞が印象的ですし、ライヴでは間奏部のコール・アンド・レスポンスで「ノー・モア!!」を繰り返す、それが U2なのです。



1曲目が終わっただけで軽い酸欠のようになっていたら、畳み掛けるようにジ・エッジのが弾き始めたのはデビュー曲"I Will Follow"、さらに"New Year's Day"と続くのですから、興奮はマックスのまま続きました。



「長い間待たせてしまったね!こうして日本に戻って来られてうれしいよ!ありがとう!」というボノのあいさつと共に始まったのは、これまたライヴにはなくてはならないナンバー"Bad"で、少しゆったりしたナンバーで客席にはスマホのライトが揺れて美しい光景の中の場内大合唱です。さらに続く"Pride (In the Name of Love)"もライヴには欠かせない曲。キング牧師殺害を歌ったこの曲を聴いた時にも、やはり歌詞の背景や何があったのかを調べていたので、ライヴでこの曲の「命奪われし時にあなたは遂に自由を手に入れました しかしその誇りは決して奪い去ることはできない」と言う部分はいつも一緒に歌いながら胸がいっぱいになり号泣してしまいます。



ここまでは言わば第一部で U2初期のヒット曲集のような選曲で、ここから今回のツアータイトルでもある、87年にリリースされたアルバム「ヨシュア・トゥリー」の全曲を収録順に再現するセットです。長いステージ幅いっぱいの60m超えで高さ14mという巨大なビデオスクリーンが設置されたメインステージに移動し、まずはユッカの大木のシルエットの根本に4人が並びポーズを決めます。



荘厳な、なにかが降臨してくるかのようなオルガンの音にジ・エッジのギターが絡むと、そう"Where the Streets Have No Name (約束の地)"です。客席に向かってのライトも着き、スクリーンには砂漠の真ん中をまっすぐに延びる道路の映像が映し出されます。もちろん出だしの「I want to run!」からの大合唱です。もうどうにかなってしまいそうなテンションです。そして今夜は特にこの曲が自分にとって大きな意味を持つだけに、またまた号泣でした。



アルバムの曲順に演奏されるのですから次が何だかはわかっているのですが"I Still Haven't Found What I'm Looking For"のイントロ、そして冒頭からの大合唱にはグッと来てしまいます。背景にはモノクロの林の映像が映され、木立の中を彷徨い歩きつつも抜けられないような感覚です。彼らの曲を僕たちが理解しようとしても、まずは言葉という壁があり、辞書と首っ引きで乗り越えたとしても、その先にはキリスト教徒の文化や考え方が更に立ちはだかっているのです。でもそれをわからないと諦めるのではなく、宗教色の濃い言い回しをシンプルな「敬愛」に置き換えて感じれば、感じとる事はできるなぁと、そんな事を考えながら一緒に歌っていました。



スクリーンの風景が一転してフルカラーのアメリカ西部の渓谷などの自然の美がいっぱいに流れる中、これも大ヒットとなった"With or Without You"です。三十年以上前の曲とは思えない、全く色褪せる事も、その輝きが曇ることもない名曲です。



もしも U2のナンバーで好きな曲を十曲選べと言われたら確実に入る8曲がオープニングから続き、ほぼ持てるチカラを出し切ってしまった感のあるこの時点で放心状態でした。ただ少し落ち着く事ができたお陰で、これまでは曲とシンクロした美しい風景のような映像が流れていたスクリーンに、次の"Bullet the Blue Sky"からはメッセージ色の濃い演出へとなっていくのをじっくり把握する事ができたのです。この曲では老若男女人種まざまなの人々がヘルメットをかぶるシーンが続きます。途中からボノが手にしたサーチライトでジ・エッジや客席を照らし出す、映画「魂の叫び」でお馴染みの演出もありました。



次はジ・エッジのピアノの演奏のみでボノが歌い上げる美しい曲"Running To Stand Still"、そして「ようこそヨシュア・トゥリーのB面へ!」というあいさつから、救世軍のブラスバンドの映像とシンクロさせた"Red Hill Mining Town"、ストロボライトなどで盛り上がる"In God's Country"やジ・エッジの奥さまのカウボーイ姿の映像が印象的だった"Trip Through Your Wires"と続きます。



そして楽しみにしていた曲"One Tree Hill"。ニュー・ジーランド、オークランドのマオリ聖地の丘。この地を訪れた際に出会った地元の青年でボノと意気投合し、その後バンドのローディーとなりツアーに同行し、移住先のダブリンでバイクの事故で亡くなったキャロル氏について書かれた鎮魂歌のような美しいナンバーで、「星が空から落ち ワンツリーヒルにかかる月が赤くなったらたらまた会おう」という歌詞に添って真っ赤な満月が映し出された時、会えなくなってしまった誰かともきっとどこかで、もしかしたら想いさえすればどこでも会えるのではないかなと少しだけ心に平静が訪れた気がしました。



ガラッと変わって、モノクロの映像が流れわざわざ日本語で字幕を作成してくれたのにさっぱり意味がわからず後から調べたのですが、これは50年代のアメリカの西部劇テレビドラマで、たまたま偶然なのですが登場するいかさまぺてん師の名前が「トランプ 」という男で、彼が町人を騙そうと語る大風呂敷が「みなさんの生活を守る為には、家の周りに壁を築けばいいのです!」とどこかで聞いた事あるようなスピーチをしていて、住民たちの「この嘘つきトランプ めっ!!」と、こちらも聞き覚えのある罵声を浴びるという内容なのです。これを導入部として始まったのが"Exit"です。ボノは帽子を被りコートを着込み「シャドウマン」なる悪意の宣教師に扮しての登場です。そのままサブステージに向かいながら、お前の手は憎しみの手か善意の手か?さぁ、こちら側に来いよ、お前の悪事を暴いてやるよと、ぞっとするような曲の雰囲気と共にシャドウマンは迫ってきます。



扮装を脱ぎ捨て跪き歌われたアルバムの最後を飾る"Mothers Of The Disappeared"は軍事政権下で反政府発言などで子供たちを行方不明、消息不明で失った母親たちを歌ったもので、スクリーンにはキャンドルに火を灯した母親たちの姿が映し出されています。この曲にたどり着いた時に、正直内心ほっとした想いがありました。と言うのも、そこが「ヨシュア・トゥリー」と言うアルバムの魅力であり傑作と称される所以なのですが、真剣に対峙するとその重さに押し潰されそうになるのです。こうして迫力ある生音で、映像や照明という演出も加わり真正面から一気に通して向き合うと本当に重いのです。裏を返せばそれだけ感じさせる、アルバムとしてまとまりのある作品だということなのですがね。



そんな気持ちを察してくれたかのように4人ともサブステージに再び移り、「ヨシュア・トゥリー」の全米ツアーの際にできた曲"Angel of Harlem"が素晴らしいタイミングのセットインです。ジャズ、ソウル、ゴスペルなどアメリカ音楽への敬意を表したこの曲では、B.B.キングと共に行なった89年のLOVETOWNツアーの東京ドームでのライヴを思い出すのですが、それでさえちょうど三十年前なんだと感慨深くなりました。



ここまでですでに90分くらいは続いており、こからはどうやらアンコールと言う位置付けになるようなのですが、「ヨシュア・トゥリー」以降最近までの曲によるセットです。今夜9時に会場から世界に向けて生配信で重大発表があるとネットで拡散されていたのですが、スクリーンで映像使ってこのタイミングで発表されたのは、アメリカのネットラジオと提携を結んだみたいなもので、僕らにはポカーンな話でした。



そしてアンコールは"Elevation"からスタート。ドラムの背後からのカメラ映像がスクリーンに映しだされ、胸の前で指でハートを作り「心から思っているよ」とメッセージを送るラリーは、おじさんながらかわいいったらありゃしない。



続いての"Vertigo"は途中にJoan Jett & The Blackheartsでお馴染みの"I Love Rock & Roll"挟み観客に歌わせるのですが、いやいや「アーイ・ラーヴ・ロックンロール!」しか歌えませんって。ボノは「どうした?ジョーン・ジェットはダメか?ランナウェイズはダメなのか?」と不思議がっていましたが、僕たち急に振られても知っている程度の外国語の歌詞覚えているのは限界ありますって。「ほにゃららららーらら ベイビー!」ってなっちゃうのですよ。それでも U2ファンは良く歌詞覚えている方だと自信を持って言えます。さらに続く"Even Better Than The Real Thing"も盛り上がる曲で、単純にかっこいいロック・コンサートとして楽しめる時間です。どうしても文章にさえ滲み出てしまいますが、僕にとっての U2の作品はデビューから「ヨシュア・トゥリー」までの思い入れが最も強く、このアンコール部分に入ってくる曲への熱量は多少落ちてしまう事は否めません。なんせ客電落ちた時にパーカー脱いで腰に巻きツアーTシャツいっちょでフルスロットルで盛り上がっていたので、汗かいていたのが冷えてきてパーカーを羽織ったほどです。それでも周りの人たちよりもワイルドでしたがね。



ジ・エッジのピアノとボノのヴォーカルだけで始まったのは2014年の「ソングス・オブ・イノセンス」のナンバー"Every Breaking Wave"。途中からアダムとラリーのリズム隊が加わるバラードに仕上げられており素敵な展開でした。



続いて中期の、といっても20年近く前の曲ですが、大ヒット曲”Beautiful Day”です。天空を染めるオーロラのような映像をバックに演奏されなんとも美しい空間です。途中の「See China right in front of you (目の前にある中国)」の歌詞のChinaがJapanに替えて歌われました。



91年のアルバム「アクトン・ベイビー」からの”Ultraviolet (Light My Way)”では最初「History」の文字が映し出されそれが徐々に「Herstory」へと変わり、女性の地位向上、解放に尽力された世界各国の女性の写真が映像がスクリーンで展開され、日本公演だけに市川房枝さん、緒方貞子さん、草間弥生さん、そして伊藤詩織さん、石川優実さんなど多くの日本人女性が含まれていました。最後に登場した小野洋子さんは、久しぶりに漢字表記を見てあぁそうだった、オノ・ヨーコさんは小野洋子さんだったと思いました。



2年前にリリースされた現時点での最新アルバム「ソングス・オブ・エクスペリエンス」から唯一セットインした”Love Is Bigger Than Anything In Its Way”はONE キャンペーン(世界の貧困救助、エイズ撲滅を目指す民間非営利組織による活動)を支持する彼らのスタンスを示す演出がなされており、「愛は行く手を遮る全てを凌駕する」という曲目の日本語訳が大きく映し出されました。更に伝えられたメッセージ「人は全員が平等になるまで誰も平等ではない」には、今日一番の感銘を受けました。感銘どころか衝撃的な言葉でした。一部の人がみんな平等だと思ったところで、そうとは思っていない人が存在する限りそれは平等だとは言えないのです。これは深く僕の心に刺さりました。大袈裟に言えば今後の人生の大きな指標となっていく事でしょう。13年前の彼らの来日公演、同じこの会場でスクリーンに映し出された「共生」という二文字が、誰かと自分との違いをなくそうとするのではなく、違いを認めて、受け容れて、違うことは何も悪い事ではないし当たり前の事なんだと共に生きてゆけばお互いに気持ち良く過ごせるという指標を示してくれ、その後の自分の考え方の根幹のひとつになったように、今回もとてもありがたい、そして大切にしてゆきたいギフトを受け取ったのです。



いよいよラスト。最初に記した彼らの曲から十曲選べと言われたら必ず入る曲の9曲目である”One”です。もちろんこの曲が始まった時点ではこれが最後の曲だとはわからなかったのですが、感覚的にこれで終わりだと感じ取り、なおかつこの曲の余韻で会場から出て行きたいと思ったのです。この曲が前記の「共生」という考え方を学んだ曲で、その歌詞にもこう歌われています。

One life, but we’re not the same
We get to carry each other
One

ひとつの生き方、でも僕らは全く同じことはないよね
これから支え合っていくんだ
ひとつになる為に

この部分が特に大切なのは"carry each other (支え合う)"の前の"get to"です。もしもこれが"We got to"だと「しなければならない」という説教がましい言い回しになるところですが、彼らはWe get to...と可能性をともなった強制ではない言葉を用いているのです。そう、明日を誰にとっても素敵な一日にするのは我々ひとりひとりなのです。




最後は全員で並んで挨拶して別れを惜しんでくれました。なかなか実現しなかった日本公演。日本における彼らの存在は海外のそれに較べて、比較にならないほどの小ささなものなのは否定できないのですが、今回13年ぶりの来日公演で僕ら日本のファンも言語や文化の壁はあっても、さらにそれを乗り越えて彼らを支持しているという事は伝わったはずです。そして彼らもたった2日間の日本公演のために演出の多くを我々が理解できるようにと日本語に置き換えてくれていたことに感謝です。理解することによってヴィジュアルの演出はメッセージへと変わるのですから。



僕の人生の三分の二にあたる40年近くの時を、メンバーチェンジもなく、共に歩み、導き、多くの事を学ばせてくれているU2。好きなバンド、敬愛するアーティスト、そんなレベルではなく、僕と言う人間の大きな部分を形成してくれているという事実を改めて痛感することができた夜でした。

-SETLIST-
Sunday Bloody Sunday
I Will Follow
New Year's Day
Bad
Pride (In the Name of Love)
Where the Streets Have No Name
I Still Haven't Found What I'm Looking For
With or Without You
Bullet the Blue Sky
Running To Stand Still
Red Hill Mining Town
In God's Country
Trip Through Your Wires
One Tree Hill
Exit
Mothers Of The Disappeared
Angel of Harlem
-encore-
Elevation
Vertigo
Even Better Than The Real Thing
Every Breaking Wave
Beautiful Day
Ultraviolet (Light My Way)
Love Is Bigger Than Anything In Its Way
One

*ちなみに十曲選ぶならの中で唯一聴けなかったのは”Gloria”でしたが、2日目には”I Will Follow”に替わってセットインしていました。吾唯知足。
  

Posted by Ken2 at 23:59Comments(2)

2019.7.2 Corey Hart & Paul Young @ Bunkamura オーチャードホール

2019年07月02日 / 洋楽



夢のようなジョイント・コンサートが何故か日本だけで実現したのです。なんせポール・ヤングとコリー・ハートですぜ!80年代に来日したら必ず見に行っていた2人が同じステージに立つのです。開演前からドキドキでした。



先ずはポール・ヤングのセット。



何度も喉のポリープ手術を乗り越えて今なおツアーを続けているだけに、あの素晴らしい声がパワーダウンしていたのは否めないものの、「Some Peodle」で幕を明け、「Love of the Common People」「No Parlez」と80年代を飾った名盤「何も言わないで」からの曲が続き、4曲目の「Wherever I Lay My Hat (That’s My Home)」でもうとろけちゃいました。キーは下がりパワーも落ちてはいたものの、こんな名曲の数々をこの時代にもう一度生で聴かれるだけで至福の時間です。同じアルバムの「Love Will Tear Us Apart」「Come Back and Stay」では、マイクスタンドを頭上で回すおなじみの姿が嬉しかったなぁ。



セットのラストは大ヒット曲「Everytime You Go Away」だったのですが、途中コリー・ハートがステージに飛び出してきてデュエットし始めた時にはホントに鼻血出るかと思ったほどです!目の前の光景ながら信じられなかったなぁ。



バックバンドは変わらずだったのでそのままコリーのセットへ。いきなりセカンドアルバムのタイトルトラック「Boy in the Box」で始まりノリノリです。僕のひとつ年下なのにかっこいいったらありゃしない!そのセットはヒット曲の連発でしたが、特に「Sunglasses at Night」ではメンバーを含めてサングラス着用で、場内大合唱でした。



最前列のファンをステージに上げ通訳してもらい、最初に認めてくれた日本のファンへの感謝と、その応援がこの曲を書かせてくれたと言う想いを伝えて歌われたのが「Never Surrender」です。この曲は好きな曲とかのレベルではなく、もしも僕の58年の人生のサントラアルバムがあるとしたらこの曲が最後を飾ります。それほど大切な曲なのです。

もし道に迷い孤立しても
きみの歩む道がその先続いていなくても
決してあきらめないでくれ

夜が冷たく暗いからこそ
その先に光が見えるものなんだ
戦い続けること
屈せずあきらめないきみを邪魔することなど
誰にもできないのだから

そう歌われているこの曲に、何度背中を押してもらい、どん底な気持ちから這い上がらせもらったか知れません。涙目で拳を突き上げ一緒に歌いながら震えてしまいました。

後半はグランドピアノが運び込まれ「Everything in My Heart」「Let It Be」を弾き語りで披露。終演後にスタッフに頼んで剥がしてもらい手に入れたセトリの紙には「Everything in My Heart」はなかったので、数年前に他界されたお世話になった日本のレコード会社の担当ディレクターとその家族に捧げたいと語っていたので、急遽セットインしたようです。



ラストは、日本のお母さんと呼ぶ湯川れい子さんに捧げられた、日本でも大ヒットとなった「Can’t Help Falling in Love」で、場内大合唱の美しさは三十数年前の武道館を思い出させてもらいました。

アンコールはこのツアー、と言っても今日と明日の大阪の2回だけなのですが、その為に書かれた曲「Young at Hart」を共演で披露してくれました。



もちろん正直に言えば別々にフルセットのコンサートを見たかったです。ただ条件的に難しいであろう日本で、こうして2人の姿を見る事ができて、もう生で聴く事ができるとは思いもしなかった自分にとって大切な曲の数々を聴かれただけでも大満足です。その上、セトリを剥がしてもらいに行ったら、別のスタッフがドラムスティックを持ってきてくれたし、更にプログラム購入した希望者は終演後のサイン会に参加できるというおそれ多いサービスまであり満ち足りた夜でした。



SETLIST:

-Paul Young-
1 Some People
2 Love of the Common People
3 No Parlez
4 Wherever I Lay My Hat (That’s My Home)
5 Love Will Tear Us Apart
6 Slipped, Tripped
7 I’m Gonna Tear Your Playhouse Down
8 Come Back and Stay
9 Everytime You Go Away

-Corey Hart-
1 Boy in the Box
2 In Your Soul
3 Eurasian Eyes
4 It Ain’t Enough
5 Sunglasses at Night
6 Viva La Vida
7 Never Surrender
8 Everything in My Heart
9 Let It Be
10 Can’t Help Falling in Love

-encore: Paul & Corey-
11 Young at Hart  

Posted by Ken2 at 23:59Comments(0)

Ed Sheeran "÷ WORLD TOUR" 2019.4.9@東京ドーム

2019年04月09日 / 洋楽



前回の武道館公演からちょうど1年。2年前にスタートしたワールドツアー2巡目で、彼にとって初の東京ドームでのコンサートです。チケット転売対策のためなのか、発券開始は公演1週間前で、その時ようやくわかった座席もアリーナブロックの配列がはっきりしなくてわからなかったものの、当日行ってみたら思っていた以上に良席でした。



同じツアーなのでセットリストも前回の武道館公演と数曲入れ替わったくらいで流れも同じでした。ジャスティン・ビーヴァーに提供した「Love Yourself」、そしてファーストアルバム「+」からの3曲メドレーがセットインしたのは嬉しかったなぁ。



たったひとりで、5万人の観客の心をしっかり掴んでしまうのは天晴れとしか言い様がありませんでした。大がかりなセットで武道館より数段スケールアップした姿を2時間たっぷり見せて聴かせてくれました。



ひとつ残念に思ったのは、これだけの観客で埋まっているのに静か過ぎたことです。君たちは本当に僕の音楽をリスペクトしてしっかり聴いて受け止めてくれると言ってくれていたものの、もっと一緒に歌って欲しいと願っているのが節々に伝わって来ました。「言葉の壁」とか「奥ゆかしい」などと言うシュガーコーティングされた言葉で言い訳しても、多くの観客が根本的に歌詞を覚える努力をしていないのは否めないはずです。もちろんどう楽しむかは自由ですが、一緒に歌ってスタジアムがひとつになるというポイントが彼のコンサートの魅力であり、それが足りなかったのは彼の力量不足ではなく、明らかに客席側の落ち度です。興行的には成功しているから心配ないとは思いますが、最近アジアツアーはあっても日本は飛ばすアーティストが多い原因のひとつはこんなところにあるのかもしれないなと感じました。しっかりと聴く曲は聴くのと同じように一緒に歌うのもリスペクトなのではないでしょうか。



2017年3月にスタートした「÷ツアー」は世界中で261回公演640万人を動員し、この夏の本国英国ツアーで幕を閉じます。アリーナ、スタジアムと両方のセットを楽しめた自分は幸せ者です。そしてその先の彼の活動が早くも楽しみであります。



Castle on the Hill
Eraser
The A Team
Don't / New Man
Dive
Bloodstream
Love Yourself
Tenerife Sea
Lego House / Kiss Me / Give Me Love
Galway Girl
Feeling Good / I See Fire
Thinking Out Loud
One / Photograph
Perfect
Nancy Mulligan
Sing
-Encore-
Shape of You
You Need Me, I Don't Need You  

Posted by Ken2 at 23:59Comments(0)

PET SHOP BOYS The Super Tour 2019.4.1@日本武道館

2019年04月01日 / 洋楽



なんと57歳と10ヶ月にしてまだ100分間踊り続ける事ができた!自分でも驚いたもん!それほど素晴らしいコンサートで、45年におよぶコンサート通い人生の中でも十指に入るのではないかというほどで、少なくとも今世紀最高のライヴでした。



初めて彼らのレコードを買って34年、その間に7回も来日公演を行っているのに何か他のライヴと重なったり、ここ何回かは苦手な野外フェスへの出演だったりと機会が得られず今回が初の生PSB。16年に発表されたアルバム「Super」のツアーながら、彼らのキャリアを総括するかのような選曲で、ふたりのユニットのステージながら映像を駆使してのスペクタクルなショーでした。



一度生で体験したかった「It's a Sin」、あまりにも曲調とマッチしたドラマティックなライティングに何故か涙溢れてきたほどです。この1曲のためだけでも行く価値は充分にありました。



後半の「West End Girls」「Go West」「Domino Dancing」「Always on My Mind」などのヒット曲では場内大合唱での盛り上がり。



三十余年に渡り良質なダンスポップチューンを生み出し続けてくれているPSB。最後に再びサビだけ演奏され歌われた最新アルバムからのヒット曲「The Pop Kids」の歌詞「僕らはポップ・ヒッツを敬愛していてポップ・キッズと呼ばれた」というくだりが繰り返され、それはまるで彼ら、そして今宵ここに集った僕たちのアンセムのようでした。踊りっぱなしのライヴは足腰には堪えたけれど、還暦過ぎてもいつまでもThe Pop Kidsでいたいと思いました。



SETLIST:
Inner Sanctum
Opportunities (Let's Make Lots of Money)
The Pop Kids
In the Night
Burn
Love Is a Bourgeois Construct
New York City Boy
Se A Vida É (That's The Way Life Is)
Love Comes Quickly
Love etc.
The Dictator Decides
Inside a Dream
West End Girls
Home and Dry / The Enigma
Vocal
The Sodom and Gomorrah Show
It's A Sin
Left to My Own Devices
Go West
Encore:
Domino Dancing
Always on My Mind
The Pop Kids (reprise)  

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sala-saji 2019.3.16@OKINAWA LIVE HOUSE MOD’S

2019年03月16日 / sala-saji



聴かず嫌いのインストゥルメンタル・ミュージックへの扉を開いてくれ、歌詞のない音楽を通してその時自分の感じたままに脳裏に浮かぶ風景の中を旅したり色彩を描かせてくれたsala-sajiが8年間の活動にピリオドを打ち卒業するラストライブが沖縄北谷のMOD'Sで行われました。



いつもはサックスとアコースティックギターのふたりでのステージでしたが、今夜は久しぶりのバンド編成でのライブ。厚みと迫力のあるサウンドです。8年間に紡がれた曲の数々がバランス良く演奏されました。Jinさん、紗奈さんの笑顔といつものほんわかした空気で全くファイナルを感じさせないスタートだったのですが、数曲目に僕の中では最愛なるsala-sajiナンバーである「古都 -koto-」が演奏された時に、急にもうこの曲を生で聴く機会はないんだという思いがひしひしと現実として押し寄せ来ました。機会があるごとにsala-sajiのライブを聴きに行っていたのですが、初めて耳にする新曲が時と演奏される場数を経てどんどん味わい深くなり、まるでワインが熟成されていくようだと感じていたのですが、今宵その熟成が止まってしまうと思うとなんとも切ない気持ちになり、それと同時にこの場所での一瞬一瞬を大切にしなきゃという気持ちになりました。



Jinさんが、曲を作ってそれを届けにたくさんの場所に出かけて行って、それによってたくさんの人に出会うことができ、いつしかその出会いのために曲を作るようになってきていたという話をされていましたが、今夜満席の会場には僕たちを含めてそんな出会いで繋がっていった人々が沖縄県内のみならず全国から集まっており、それぞれの想いを曲に乗せていたのが肌で感じられ、演奏されるナンバーの数々だけでなく、この出会いとそこから生まれた繋がりがsala-sajiが紡いできた軌跡なのだと思ったのです。



休憩を挟んで3時間。ラストだからと言って湿っぽくはならず、音と気持ちを届けきったsala-saji。そのライブは熟成したワインを片手に、共に歩ませてもらった数年間のアルバムのページをゆったりとめくる時の流れに浸るような満ち足りた時間でした。



セットリスト
1st Stage
・オープニング 新曲
・Winding rode
・古都 - koto -
・Green
・Peace Of Ocean
・Time is … 〜Loftiness
・Stunningly Growing Woman

2nd Stage
・土曜日のそば
・csárdás
・flower
・Pavement Dancer
・Tinga-la
・sala-saji メドレー
(蒼爽 → パステル → トラベリンマーチ → 弥華月-mikazuki- → 蒼爽)
・Leading to the Sky

アンコール
・Rainbow
・Per favor!



【Final Liveバンドメンバー】
・紗奈(Saxophone)
・Jin (A.guitar)
・松元 靖(keyboard)
・宮田 まこと(Drums)
・玉城 チコ(Percussion)
・宮澤"naoto.grand cabin"直人(Bass)
・豊永 涼子 (PAエンジニア)  

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BRYAN FERRY 2019.3.13@Bunkamuraオーチャードホール

2019年03月13日 / 洋楽



もうね、フェリー様に関しては理屈もへったくれもなく、存在してくださることで全てが許されるのですよ、はい。フェリー様ですもの。



83年のRoxy Music武道館公演で腰が砕けたオープニングと同じ「The Main Thing」でお出ましになられ、立て続けにソロのヒット曲「Slave to Love」「Don't Stop the Dance」を繰り出してくるからもうのっけから撃沈でした。



その上当日まで知らなかったのですが、今回のワールドツアーのギタリストがクリス・スペディングだったのも鼻血もの!Roxyのファーストアルバムからソロ曲までキャリアを総括するようなセトリを、完璧に出来上がったアンサンブルで流れるように堪能させてくれました。



曲によってはキーが下がり過ぎて違う印象になったり、ほとんど腰掛けて歌うためのキーボードならスツールでもいいのでは?などというのはありましたが、御歳73歳ですもの。それ以前にフェリー様ですもの。それに尽きます。こんな70代になれたらブイブイいわせちゃいますよ!



もう一生ナマで聴く機会はないと思っていたRoxy Musicのナンバーの数々を聴かれただけでも至高の時間でした。ただその反面、フェリー様のいないRoxyはありえないと同時に、フェリー様だけではRoxy Musicではないんだよなぁと痛感してちょっとさみしくなった夜でした。



SETLIST:
The Main Thing
Slave To Love
Don't Stop the Dance
Ladytron
Out of the Blue
Oh Yeah
Tokyo Joe
A Wasted Land
Windswept
Bete Noire
Zamba
Stronger Through the Years
Don't Think Twice It's Alright
My Only Love
In Every Dream Home a Heartache
If There Is Something
More Than This
Avalon
Love Is The Drug
Remake/Remodel
Editions of You
Jealous Guy
Let's Stick Together  

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KODALINE 2019.3.12@umeda TRAD

2019年03月12日 / 洋楽



昨秋会員になっているプロモーターから届いた知らないバンドの来日告知メールの「叙情的なメロディが聴く者の魂を揺さぶるアイルランド出身のロックバンド、 コーダライン、待望の来日公演決定!」という謳い文句が妙に引っかかり、試聴してみたらまさかのどハマり。東京公演ブライアン・フェリーと同日で行かれないのでと諦めたもののすごく後悔する気がして、昨夏の入院以来体力も落ち近頃引きこもり気味だったくせに勢いで大阪まで見に行っちゃいました。



初めて行く会場だからと下見に寄ってみたら、2年連続Parsha cluBのオッカケで来たことのあるAKASOが名前変わっただけだったというね(・・;)



約90分のライブは超絶テクニックなバンドでもないし、ボーカルが本調子じゃなかったりしたけど、曲のクォリティーの高さもありそれは素敵な時間でした。派手な演出も豪華なセットもなかったけど、ライブの基本ってミュージシャンの真剣勝負にお客さんが呼応して共に作り上げるものなんだなぁと、当たり前の事を思い出させてもらいました。



僕が行く洋楽ライブってほとんどデビュー30年超のアーティストがドームやアリーナでやるものなのですが、今夜はオールスタンディングのライブハウスで500人にも満たないお客さんです。でもね、今夜のライブでわかったのです。いつしか忘れてしまったのか、ときめく心をポケットに入れずに大きな会場に何万人集まるより、本当にそのアーティストが進行形で大好きな数百人の方がはるかに素晴らしい時間と空間を築けるのですね。今どきの若者はコンサートで大人しすぎると思っていたけど、素敵な大合唱でこんなに胸がキュンキュンしたライブは久しぶりでした。決断してやって来てよかったぁ(^^)



SETLIST
Follow Your Fire
Brand New Day
Ready
Honest
Brother
Shed a Tear
Head Held High
The One
Angel
I Wouldn't Be
Love Like This
One Day
Raging
Love Will Set You Free
All I Want
High Hopes  

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タマ伸也 2019.1.16@沖縄島唄カーニバル

2019年01月16日



久々のお出かけで、タマ伸也さんレコ発「入ります」ツアーのライヴを新大久保・沖縄島唄カーニバルで楽しんで来ました。
30年来の朋友、相馬圭ニさん、川畑アキラさん、そして現THE TWISTARSのメンバーの知久真明さん、川畑智史さんと豪華ゲストを迎え、ソロ曲をバンドやジョイント形態で聴かせてくれただけではなく、相馬さんとの伝説ユニットBoston Crubから、THE TWISTARS、ザ・コブラツイスターズまで飛び出すという、タマさん、ゲストの方々まで入りまくりの盛りだくさんライヴを満喫させていただきました。  

Posted by Ken2 at 23:59Comments(0)

今年もありがとうございましたm(_ _)m

2018年12月25日

本年も拙いライヴレポートをお読みいただきありがとうございました。
見に行く回数が減ってきましたが、ぼちぼち更新続けてゆく所存です。
2019年もよろしくご贔屓に(^^)  

Posted by Ken2 at 08:44Comments(0)